PostScriptからの変更点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/09 22:55 UTC 版)
「Display PostScript」の記事における「PostScriptからの変更点」の解説
対話機能をサポートし、画面表示に耐えうる性能にするため、以下のような変更が加えられた。 複数実行コンテクスト 逐次的に処理されるプリンタの場合とは異なり、DPSは複数のウィンドウを同時に表示し、それぞれのウィンドウに様々な設定がある。そのため、ウィンドウ毎(プロセス毎)にコンテクスト(状態データのセット)をアクティブに保持するよう修正された。 名前の符号化 PostScriptでは、プロシージャやデータ構造の多くは名前で参照される。DPSでは名前を数値に置き換えて、参照を高速化した。 対話機能サポート 当たり判定のような機能など、対話の制御のためのプロシージャが定義された。 ハーフトーン・フェーズ スクロール性能を向上させるため、DPSでは新たに見える部分だけを描画し、それ以外の部分はすでにある画像データを再描画せずにシフトさせている。しかし、そのためにハーフトーンがうまく整わず、画像に不要な線や矩形が見えるようになる。DPSはハーフトーンを整えるコードを追加している。ただし、最近のフルカラーのディスプレイではハーフトーンを使うことはないため、この技術は現在ではあまり重要ではない。 インクリメンタル・アップデート PSコードを解釈して印刷する場合、showpageに到達して初めて印刷が行われる。しかし、常に細かい更新が必要なディスプレイでは、この方式は不適切である。DPS では、ユーザープログラムから命令を受け取る度にほぼリアルタイムに描画するモードを追加した。 ビットマップフォントのサポート DPSでは、PSフォントをビットマップフォントにマップし、その場で変換する機能が追加されている。PSのフォントは低解像度の機器で主にうまく機能するが、ここでいう「低解像度」とは300dpi程度のことであり、NeXTの画面の96dpiではない。その場合はビットマップフォントの方がよい出力が得られる。 プログラミング言語サポート DPSでは、"pswrap" という概念が導入された。これはPostScriptコードをC言語の関数内に組み込み、アプリケーションから呼び出せるようにしたものである。 なお、DPSにはウィンドウシステムは組み込まれていない。ウィンドウシステムは別途実装する必要があり、これによってDPSを既存のウィンドウシステムと組み合わせて利用することができる。X Window Systemと組み合わされることが多く、そのような形で後にIBMやシリコングラフィックスがワークステーションにDisplay PostScriptを採用した。X WindowからDPSを呼び出す際のインタフェース部分のコードはDPS本体よりも複雑化することが多い。他にも選択肢はあるため、DPSは広く採用されるには至らなかった。
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