JOTS I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 16:03 UTC 版)
1970年代、アメリカ海軍の一部では、ヒューレット・パッカード(HP)社製のプログラム電卓によって、潜水艦捜索計画などの立案を行なうことが試みられていた。当時、既にもっと大掛かりで高性能な戦術情報処理装置(NTDSなど)は配備されていたが、軍用仕様(MIL規格)に準拠したそれらの情報処理装置より、低性能ではあっても柔軟性に優れたHP社製の電卓のほうが優れていた状況もしばしば発生した。 1981年、第8空母機動任務群司令であったタトル少将(英語版)は、司令部用の部隊管理費から捻出した2万5000ドルの資金と3人の部下を使い、艦隊で開発・使用中の数々の計算機用プログラムを、共通のコンピュータ・アーキテクチャに則ったシステムとして開発した。しかし、この時点で採用されていたHP 9845Bコンピュータは、性能面で、タトルの要求にはとうてい応え得なかった。 まもなく、HP社は機能を大幅に増強したHP 9020を開発し、また、タトルも新たな援助資金を獲得した。タトルは、上記のシステムを1ヵ月でカラー表示に対応させ、海軍大学でデモンストレーションして大反響を呼んだ。これはその後、航空母艦「アメリカ」での運用試験を経て、対潜戦闘における空母外周ゾーン防衛、対空戦闘における遠距離でのパッシブでの迎撃、対水上監視および攻撃などに幅広く活用された。 同システムは大西洋艦隊の空母戦闘群において戦力化され、JOTS Iと称されて、AN/USQ-112のシステム区分を割り当てられた。1983年、JOTS Iは既開発のすべての戦術的意思決定支援システムの機能を統合し、大西洋艦隊のすべての航空母艦および巡洋艦に装備された。1984年7月、HP 9020A/C(モデル500)コンピュータはDTC-1(Desktop Tactical Computer - 1)として制式採用された。
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