I_was_THE_STALIN〜絶賛解散中〜完全版とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > I_was_THE_STALIN〜絶賛解散中〜完全版の意味・解説 

I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/24 06:59 UTC 版)

『I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版』
ザ・スターリンライブ・アルバム
リリース
録音
  • レコーディング
  • 1985年2月21日
  • 大映スタジオ第一ステージ(調布市
  • ミックス・ダウン
  • スタジオ・サウンド・ダリ
ジャンル
時間
レーベル 徳間ジャパン/ジャパンレコーズ
プロデュース
チャート最高順位
ザ・スターリン アルバム 年表
STOP JAP NAKED
(2007年)
I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版
(2012年)
STALINISM NAKED
(2019年)
EANコード
JAN 4988008085044
遠藤ミチロウ関連のアルバム 年表
『天罰なんかクソ喰らえっ!!!』
(2011年)
I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版
(2012年)
『FUKUSHIMA』
(2015年)
テンプレートを表示

I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版』(アイ・ワズ・ザ・スターリン ぜっさんかいさんちゅう かんぜんばん)は、日本のロックバンドであるザ・スターリンの5作目のライブ・アルバム

2012年3月14日徳間ジャパンコミュニケーションズのジャパンレコーズレーベルからリリースされた。遠藤ミチロウの自主レーベルである北極バクテリアからリリースされた『絶望大快楽 LIVE at 後楽園ホール'83』(2005年)以来およそ7年振りとなるライブ・アルバムであり、プロデュースは遠藤およびいぬん堂名義となっている。

1985年2月21日に調布市にある大映スタジオで行われたザ・スターリンの解散ライブの模様を収録したアルバムである。過去にリリースされた同日の模様を収録したライブ・アルバム『FOR NEVER』(1985年)にて収録されていなかった11曲を追加収録し、当日演奏された全29曲を収録した完全版となっている。収録曲は前半はインディーズレーベルでのリリースとなった4枚目のアルバム『Fish Inn』(1984年)からの選曲がメインとなっており、後半は初期インディーズ時代の楽曲から徳間ジャパン所属時までの楽曲からアップテンポのものが多く収録されている。

オリコンアルバムチャートにおいて最高位第138位となった。また、同日には遠藤が在籍したロックバンドであるビデオ・スターリンの唯一のアルバム『-1 (MINUS ONE)』(1988年)の復刻版である『MINUS ONE-LEGACY EDITION-』がリリースされている。

背景

本作は1985年2月21日に調布市にある大映スタジオで行われたザ・スターリンの解散ライブの模様を収録したアルバムである。当時の時代背景について、ライナーノーツにおいてライターの吉田豪は同時期にLAUGHIN' NOSEがデビュー・アルバム『PUSSY FOR SALE』(1984年)をリリースして脚光を浴びたことや、THE STAR CLUBがアルバム『HELLO NEW PUNKS』にて徳間ジャパンからデビューしたこと、さらにTHE WILLARDキャプテン・レコードからファースト・アルバム『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』(1985年)をリリースしインディーズブームが訪れる直前ぐらいの時期であると指摘した上で、ハードコア・パンクの全盛期が過ぎてパンク・ロックが復権しつつあった時期でありながら遠藤ミチロウがパンクから離脱しようとしていた時期であると述べている[1]

ベース担当であった杉山晋太郎が脱退したことでザ・スターリンは遠藤のソロ・ユニットのような状態となっており、吉田は遠藤による「アルバムごとに新しいことがしたかった」という発言を引用した上で、そのような姿勢でバンドが長続きするはずもなく解散は時間の問題であったと述べている[1]。またインディーズにおいて活動していた時期に「アーチスト」や「溺愛」というミドルテンポの陰鬱な楽曲が収録されていたことから、『Fish Inn』の音楽性が唐突なものではないとも吉田は主張している[1]

録音、構成

1985年2月21日に調布市にある大映スタジオで行われたザ・スターリンの解散ライブの模様を収録したアルバムである。当日のライブでは過去のメンバーであったイヌイ・ジュン(乾純)が復帰しているが、ギターALLERGY所属のONO(小野昌之)、ベースはチャンス・オペレーション所属のヒゴ・ヒロシ(肥後宏)が担当していることから、吉田豪は「もはやパンクバンドとは呼べない状態だった」と述べている[1]

同日の模様を収録し過去にリリースされていた『FOR NEVER』(1985年)では当日の演奏曲順とは異なる収録曲順になっており、同作では「虫」の演奏後に「ロマンチスト」「アザラシ」「天プラ」「バキューム」などのアップテンポな楽曲が続いたことについて、吉田は「作品として聴きやすくするためのサービス」であったと述べている[1]。本作では当日の演奏曲順通りに収録されており、1枚目に収録された当日の第一部ではアルバム『Fish Inn』からのミドルテンポの曲が多く選曲され、これについて吉田は「とことん観客を突き放していたことに驚愕! 伝説の変態パンクバンドを体験しようと思って気合を入れて鋲ジャン着て来たパンクス涙目!」と述べている[1]。2枚目に収録されているのは当日の第二部であり、それまでのアルバムからアップテンポの曲が満遍なく収録されていることから、吉田は「落差がハッキリして、ようやくライヴがちゃんと追体験出来てスッキリした次第」であると述べている[1]

また、吉田はザ・スターリンのライブにおける重要な要素として拡声器のサイレン音と爆竹の破裂音を挙げた上で、第二部でのアップテンポの楽曲において爆竹の破裂音がしないのは第二部開始前に「爆竹を鳴らしたらライヴ中止」であるとアナウンスが入っていたからであることが本作によって判明したと述べている[1]。また『FOR NEVER』においては遠藤のソロ・アルバム『ベトナム伝説』(1984年)の収録曲やインディーズでの限定リリースであり世間的な知名度が低かったアルバム『trash』(1981年)の収録曲が外されたことには吉田は理解を示したが、同作において最後の曲となっていた「バイ・バイ・ニーチェ」が実は第一部の最後の曲であり、第二部の最後の曲となった「Fish Inn」がカットされていたことについては苦言を呈している[2]。さらにライブ終了後にヨハン・パッヘルベルの楽曲「カノン」(1919年)がSEとして会場に流されていたことにも吉田は言及している[3]

リリース、批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[4]

本作は2012年3月14日に、遠藤のメジャー・デビュー30周年記念版として徳間ジャパンコミュニケーションズのジャパンレコーズレーベルから2枚組CDにてリリースされた[5]。過去にリリースされた2枚組LPの『FOR NEVER』では収録時間の問題により当日演奏された29曲中18曲のみが収録されていた[6][7][8]。その後1990年および2001年にCDにて再リリースされており、当日の演奏をすべて収録した完全版の企画は2001年の段階ですでに存在したものの、オリジナル・マスターテープが発見されなかったため断念されていた[9][6][7][8]。その後2011年末に全曲を収録したマスターテープが発見され、およそ28年振りに完全版が実現することになった[6][7][8]。本作では未発表音源7曲を含めた全30曲が遠藤監修による再トラック・ダウンおよびリマスタリングが行われた他、CDブックレットには松田洋子による漫画『シベリア送り鉄道の夜』や吉田豪によるライナーノーツが掲載された[6]

本作に対する評価として、音楽情報サイト『CDジャーナル』では第一部がダウナーな楽曲が多く収録され、「爆竹を投げないでください」というアナウンスから開始される第二部ではアッパーな楽曲が多く収録されていることに触れた上で、「あらためてスターリンは音も歌詞も“スゴイ”」と肯定的に評価し、「リアルタイムでスターリンを体感していないリスナーに、当時の過激さがどう伝わるのか、そして何を思うのかも興味深い」と総括している[4]。また、同日には遠藤が在籍したロックバンドであるビデオ・スターリンの唯一のアルバム『-1 (MINUS ONE)』(1988年)に初CD化音源を追加した復刻版である『MINUS ONE-LEGACY EDITION-』がリリースされた[10]

収録曲

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[11]
CD 1 第一部
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.遠藤みちろうタムTHE STALIN
2.廃魚遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
3.M-16(マイナー・シックスティーン)遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
4.T-Legs遠藤みちろう乾純THE STALIN
5.アクマデ憐レム歌遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
6.溺愛遠藤みちろうタムTHE STALIN
7.おまえの犬になる遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
8.バイ・バイ・ニーチェ遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
合計時間:
CD 2 第二部
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.オープニング・アナウンス   
2.猟奇ハンター遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
3.渚の天婦羅ロック遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
4.バキューム遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
5.ハロー・アイ・ラブ・ユーに捧ぐ遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
6.ワイルドで行こう(Born To Be Wild)マース・ボンファイア、遠藤みちろうマース・ボンファイアTHE STALIN
7.天プラ遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
8.電動コケシ遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
9.アザラシ遠藤みちろうタムTHE STALIN
10.NO FUNJ・オスターバーグ・ジュニア、S・アシュトン、D・アレクサンダー、R・アシュトン、遠藤みちろうJ・オスターバーグ・ジュニア、S・アシュトン、D・アレクサンダー、R・アシュトンTHE STALIN
11.アーチスト/マリアンヌ遠藤みちろう、相沢靖子遠藤みちろうTHE STALIN
12.お母さんいい加減-先天性労働者遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
13.ロマンチスト遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
14.下水道のペテン師遠藤みちろうタムTHE STALIN
15.STOP GIRL遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
16.爆裂(バースト)ヘッド遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
17.豚に真珠遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
18.GASS遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
19.仰げば尊し文部省唱歌文部省唱歌遠藤みちろう
20.解剖室遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
21.ワルシャワの幻想遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
22.Fish Inn遠藤みちろう遠藤みちろうTHE STALIN
合計時間:

スタッフ・クレジット

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[12]

THE STALIN

参加ミュージシャン

  • ヒゴ・ヒロシ(チャンス・オペレーション) – ベース

コンサートスタッフ

  • B.Q. – 企画、プロデュース
  • 伊地知隆 – トータル・ディレクター
  • 宇佐美敏彦 – コンサート・デザイナー
  • 磯村誠 – サウンド・デザイナー
  • 岸川勝久 – ライト・デザイナー
  • 表勝比呂 – ステージ・デザイナー
  • 森田勝 – ステージ・ディレクター
  • LIGHT OPEN – P.A.システム
  • アニー&清水舞台工芸 – ステージ建設
  • 小山幹雄 – ザ・スターリン・クルー
  • 鈴木康 – ザ・スターリン・クルー
  • 須ヶ崎英昭 – ザ・スターリン・クルー
  • 本多聡 – ザ・スターリン・クルー
  • 渡辺達也 – ザ・スターリン・クルー
  • グヤトーン・アンプ – 楽器使用
  • パール・ドラムス – 楽器使用
  • タムコ・モービル・ユニット – レコーディング・エンジニア
  • 原正一 – エンジニア
  • 池田聡 – アシスタント・エンジニア
  • 石垣章 – 写真撮影
  • THE STALIN – プロデュース
  • 加藤正文 – プロデュース

アルバム制作スタッフ

リリース日一覧

No. リリース日 レーベル 規格 カタログ番号 備考 出典
1 2012年3月14日 徳間ジャパン/ジャパンレコーズ CD TKCA-73749 [4][13]
2 2014年7月14日 徳間ジャパン ハイレゾ - HIGHRESAUDIO.jpでのデジタル・ダウンロード [14]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 2012, p. 2- 吉田豪「ひとりすたありん」より
  2. ^ I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 2012, pp. 2–3- 吉田豪「ひとりすたありん」より
  3. ^ I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 2012, p. 3- 吉田豪「ひとりすたありん」より
  4. ^ a b c THE STALIN / I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版 [2CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2024年11月23日閲覧。
  5. ^ メジャーデビュー30周年記念版!「I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版」”. 徳間ジャパン公式サイト. 徳間ジャパンコミュニケーションズ (2012年2月10日). 2024年11月23日閲覧。
  6. ^ a b c d 未発表音源7曲!スターリン幻のマスターテープ28年ぶり発掘”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2012年2月10日). 2024年11月23日閲覧。
  7. ^ a b c THE STALIN、解散ライブ幻のマスターテープを28年ぶりに発見 完全盤としてリリース”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク (2012年2月10日). 2019年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月30日閲覧。
  8. ^ a b c THE STALIN、幻のマスターテープが28年ぶりに発見!”. CDジャーナル. 音楽出版社 (2012年2月10日). 2024年11月23日閲覧。
  9. ^ FOR NEVER 2001, p. 1- いぬん堂「死臭-ポエム 編集後記」より
  10. ^ ミチロウ率いるビデオ・スターリン、唯一のアルバム豪華復刻”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2012年2月28日). 2024年11月23日閲覧。
  11. ^ I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 2012, p. 1.
  12. ^ I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 2012, p. 13.
  13. ^ ザ・スターリン/I was THE STALIN~絶賛解散中~完全版”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2024年11月23日閲覧。
  14. ^ ザ・スターリン、4作品のハイレゾ音源配信”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2014年7月14日). 2024年11月23日閲覧。

参考文献

  • いぬん堂『FOR NEVER』(CDライナーノーツ)ザ・スターリン、いぬん堂、2001年、1頁。WC-020〜021。 
  • 吉田豪『I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版』(CDライナーノーツ)ザ・スターリン徳間ジャパン、2012年、1 - 13頁。TKCA-73749。 

外部リンク


「I was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「I_was_THE_STALIN〜絶賛解散中〜完全版」の関連用語

I_was_THE_STALIN〜絶賛解散中〜完全版のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



I_was_THE_STALIN〜絶賛解散中〜完全版のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのI was THE STALIN〜絶賛解散中〜完全版 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS