HO/OOスケール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/27 01:15 UTC 版)
「1/72スケール」の記事における「HO/OOスケール」の解説
「HO/OO」とは、鉄道模型で使用される表記方法に端を発するもので、HOはHOゲージ(1/87スケール)を指し、OOはOOゲージ(1/76スケール)を指す。そのどちらも標準軌を16.5mmとしており、OOゲージとHOゲージは元来「OO (1/87スケール・16.5㎜ゲージ)」として同一の規格であった。後に1/76スケール(OOスケール)のOOゲージと1/87スケール(HOスケール)のHOゲージに分離した。このことから鉄道模型を専門としていないメーカーではこれらの規格を混同したり、あるいは一般ユーザーの知名度を考慮して、あえて不正確な表示をする場合もある。 イギリスのプラモデルメーカーであるエアフィックスは、1950年代よりHO and OO (またはHO/OO) Scale、OO/HOと表示した鉄道車両や、プラットホームなどの周辺アクセサリーのプラモデルを発売していた。これらの模型は本来縮尺の異なる2つの規格名を併記しているが、実質的にはOOスケール(1/76スケール)で作られていた。また、エアフィックスは同じHO/OOスケールで戦車等の軍用車両のプラモデルや、軟質プラスチック製のフィギュアもモデル化した。特にフィギュアは鉄道模型と組み合わせ可能なものや、軍用車両と組み合わせ可能なミリタリーフィギュア以外にも、様々な種類のものが作られ人気を得た。そのため、いくつものメーカーからエアフィックス製品のコピーや、スケールを合わせて新規に開発したフィギュアが発売された。また、エアフィックスにスケールを合わせた1/76の軍用車両もイギリスのマッチボックスや、日本のフジミ、日東などから発売された。しかしイタリアのエッシー、日本のハセガワ、ドイツレベルなどはミニスケールの軍用車両にも航空機と同じ1/72を採用した。 HO/OOと1/72は異なるスケールであり、エアフィックスとドイツレベルのレオパルト1戦車のキットを比較すれば分かるように互換性もない。フィギュアでさえ、1/72とHO/OOでは明らかにサイズの違いが見られる(ただし、このクラスのフィギュアでは、メーカー間や同一メーカーであっても発売時期によるサイズの差が大きく、HO/OOスケールでも1/72に近い大きさの製品も少なくない)。しかし、歴史的に近似のスケールと考えられていたことと、プラモデルと鉄道模型の縮尺の扱いの差による混乱のため、HO/OOの製品が1/72と表示された例も少なくない。また、HO/OOの製品がイギリス以外の国でHOスケールと表示されたり、1/72や1/100のプラモデルがHOスケールと表示された例もある。エアフィックスも、1990年代以降、パッケージをリニューアルして再発売するHO/OOスケールキットに1/72と表示した。これはスケールを混同したためではなく、このクラスのミニサイズ軍用車両では1/72スケールが主流となったことを反映したものであり、実際に1/72スケールのキットも数点発売された。この状態は2000年代後半まで続いたが、2006年に鉄道模型メーカーのホーンビィの傘下に入った後は、HO/OOスケールキットの表示は1/76に修正された。 2011年現在、ミニサイズの軍用車両は1/72スケールが主流であるが、HO/OO(1/76)スケールも消滅したわけではない。エアフィックス以外にもフジミは旧日東製も含め1/76スケールの製品の販売を継続しており、ドイツレベルも旧マッチボックス製のキットを自社製の1/72キットとは区別し1/76と表示して販売している。更にエアフィックスは旧製品のマイナーチェンジや、他社の金型を使ったものだけでなく、完全新金型による1/76スケールの新製品の開発も再開した。ただし、フジミは2010年のドイツ軍用トラックに続き、2011年には10式戦車を1/72スケールで製品化し、1/72への移行を鮮明にしている。
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