AGM-88E AARGM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 07:59 UTC 版)
「AGM-88 (ミサイル)」の記事における「AGM-88E AARGM」の解説
AARGM(Advanced Anti-Radiation Guided Missile, 先進対電波源誘導ミサイル) は、フェイズ3 SBIR(Small Business Innovative Research)プログラムに基づいて開発されているデュアル・シーカー対レーダーミサイルである。電波源からの電波が停止された場合の精密誘導、および濃密な電波環境における想定外の目標への着弾を減らすことを最大の目的としているが、友軍への誤爆を減らすことも重要な要求である。ソビエト連邦から分離独立したバルト三国や旧ワルシャワ条約機構加盟国などの東欧諸国がNATOに加盟したことにより多国籍軍が展開する場合に想定される戦時環境が大きく変化し、それらの国々がソビエト製の装備を使用している関係上、友軍と敵軍のレーダーを単純に区別することが難しくなった。このことにより友軍への誤爆の危険が高まったため、より高精度の攻撃能力が求められるようになった。 AARGMは、AGM-88ブロック6をベースとしており、誘導装置は2種類のシーカーを搭載したWGU-48/Bに変更されている。終末誘導にはGPS/IMUだけでなく、アクティブ・ミリメートル波画像(MMWI)レーダー・シーカーまたは長波長赤外線画像(IIR)シーカーを使用する。MMWIシーカーはアメリカ軍、IIRシーカーはドイツ軍が採用する。また、従来からのPRHシーカーは、より高感度のものに交換されている。MMWIシーカーはアクティブ・ターゲット認識アルゴリズムを使用するため、レーダー送信機だけでなく、電波を放射していないSAMサイトの制御車両のような移動目標をも攻撃することができるが、目標を電波吸収材で覆うことで形状認識が難しくなり、ECM対抗性に問題があるのではないかと指摘されている。一方、IIRシーカーはECM対抗性に優れており、画像を元に誘導するため欺瞞されにくいとされているが、高速熱環境における画像劣化なども懸念されている。 現在、オービタルATKではブロック1ソフトウェアのアップグレードを展開しており。2017年初めに米海軍と共同でのテストを完了し、ソフトウェアアップグレードの有効性を実証した。 レーダー反射断面積の低減、飛翔速度の向上、射程延長も図られている。 AARGMは2012年7月にIOCを達成し、2012年8月以降フルレート生産を開始した。2014年9月に FOCを達成する予定。 地上発射型のSurface-Launched Advanced Anti-Radiation Guided Missile (SLAARGM)も開発が進められている。 AGM-88E AARGM デュアル・シーカー誘導装置、新型制御装置。 製造者:Science and Applied Tech Inc 機関:チオコール YSR-113-TC-1×1 誘導装置:WGU-48/B
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