レーダーはんしゃ‐だんめんせき【レーダー反射断面積】
レーダー反射断面積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/15 21:42 UTC 版)

レーダー反射断面積(レーダーはんしゃだんめんせき、英語: radar cross-section, RCS)は、レーダーから電波の照射を受けたときにアンテナの方向に電波を反射させる能力の尺度。幾何学的な断面積、反射率、指向性の関数であり[1]、その反射波と等しい強度の電波を反射させることができる等方向性反射体の面積(完全導体で作られた球の断面積)で表される[2]。
定義
レーダーからの電波が目標に入射すると、これによって散乱体に電流が誘起され、電流からの再放射が散乱界を形成する。RCSは、この散乱界を用いて下記のように定義されている[3]。
レーダー反射断面積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 01:33 UTC 版)
詳細は「レーダー反射断面積」を参照 電波に対し、どれだけのステルス性を持っているかを表す値としてRCS(Radar cross section, レーダー反射断面積)という言葉が使われる。この値が小さければそれだけレーダーに探知される距離が短くなる。特に断らない限りはRCSが最小となる正面での値が、書籍などでのRCS値となるが、RCS値は全ての方向からのものが存在する。 σ = lim R → ∞ 4 π R 2 | E r | 2 | E i | 2 {\displaystyle \sigma =\lim _{R\to \infty }4\pi R^{2}{\frac {|E_{r}|^{2}}{|E_{i}|^{2}}}} σ {\displaystyle \sigma } :RCS値 | E r | {\displaystyle |E_{r}|} :入射電界強度 | E i | {\displaystyle |E_{i}|} :受信散乱電界強度R:目標とレーダーとの距離 RCSは面積の次数で表せるが、1m2との比較をデシベルで表記することもよく行われる。単位はm2又はdBsm(DEcibel squared meter、デシベル・スクエアメーター)で表す。例えば1m2は0dBsm、2m2は3dBsmである。 次にレーダーの方程式を示す。 P r = P t G 2 λ 2 σ ( 4 π ) 3 R 4 {\displaystyle P_{r}={\frac {P_{t}G^{2}\lambda ^{2}\sigma }{(4\pi )^{3}R^{4}}}} P r {\displaystyle P_{r}} :レーダーの最低受信電力 P t {\displaystyle P_{t}} :レーダーの尖頭電力G:アンテナ利得λ:波長 レーダーの最低受信電力 P r {\displaystyle P_{r}} が判れば、RCSがσである目標からの最大探知距離 Rmax は次の式で計算できる。 R m a x = P t 1 4 G 1 2 λ 1 2 σ 1 4 P r 1 4 ( 4 π ) 3 4 {\displaystyle R_{max}={\frac {P_{t}^{\frac {1}{4}}G^{\frac {1}{2}}\lambda ^{\frac {1}{2}}\sigma ^{\frac {1}{4}}}{P_{r}^{\frac {1}{4}}(4\pi )^{\frac {3}{4}}}}} 上記の式より、探知距離はRCSの4乗根に比例する。例えば、B-52のRCSが100m2でF-117攻撃機のRCSが0.025m2とすれば、(100/0.025)1/4 = 8倍のレーダー探知距離の差が生じる。また、探知される距離を2分の1にしたいのなら、RCSはその4乗の16分の1にする必要がある。 RCSはなにか直接の反射面積を表している訳ではなく、あくまで軍用機の電波に対する低発見性を数値化して比較するためのものである。RCSが0.01m2だから10cm角四方の金属板と同じ反射であるといった表現は、よくある間違いなので注意が必要である。例えば1m2の金属板がレーダーに直角に位置する時のRCSは14,000m2であるように、一般に反射面積とRCSの値は異なる。
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