919ハイブリッドEvo
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 15:12 UTC 版)
「ポルシェ・919ハイブリッド」の記事における「919ハイブリッドEvo」の解説
919ハイブリッドEvo(ポルシェ・レンシュポルト・リユニオンVI) ポルシェはレースから引退することとなった919ハイブリッドをベースに空力、足回り、パワートレインなど多方面からレギュレーションにとらわれない自由な環境でモディファイし、世界各地のモータースポーツイベントに参加させ、WECのルールにとらわれないマシン本来のポテンシャルを披露するとともにファンにお別れを告げる「919・トリビュート・ツアー」を実施するとアナウンスした。 2018年4月11日、ポルシェは919ハイブリッドの発展型である919ハイブリッドEvo (919 Hybrid Evo) を公開した。それと同時に、ニール・ジャニがドライブした919ハイブリッドEvoがスパ・フランコルシャンにおいて1分41秒770のタイムを記録し、これまでのラップレコードを更新したことが発表された。ジャニが記録したタイムは、2017年にルイス・ハミルトンがフォーミュラ1カーのメルセデス・W08で記録した予選タイム(1分42秒553)よりも0.783秒速く、通常の919ハイブリッドが2017年のWECで記録したポールポジションタイム(1分54秒097)よりも12秒以上速いものだった。このタイムを記録した周回で、ジャニはケメルストレートにおいて359 km/h (223.1 mph)を記録しており、1周の平均時速は245.61 km/h (152.6 mph)だった。 919ハイブリッドEvoが搭載するV4エンジンは通常型と同じものだが、燃料流量制限が存在しないため最高出力は500 PSから720 PS (530 kW; 710 hp)に増加しており、スパの1周で利用可能な回生エネルギー量もWECでの6.37メガジュールから8.49メガジュールに引き上げられたことで、電気モーターの出力も400 PSから440 PS (324 kW; 434 hp)に増加した。システム合計での出力は1,160 PS (853 kW; 1,144 hp)になる。軽量化により重量は39kg削減され、乾燥重量は849 kg (1,872 lb)となった。大がかりな空力アップデートも加えられており、2017年WECスパの予選仕様に比べ、ダウンフォースは53%増加、空力的効率は66%増加した。 「919・トリビュート・ツアー」の一環として、919ハイブリッドEvoは2018年を通し、各地のイベントにてデモ走行を行う予定となっている。デモ走行は、2018年の「ニュルブルクリンク24時間レース」、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」、ブランズ・ハッチでの「フェスティバル・オブ・ポルシェ」、ラグナ・セカでの「ポルシェ・レンシュポルト・リユニオンVI」で行われる。 2018年6月29日、ティモ・ベルンハルトはニュルブルクリンク北コースで919ハイブリッドEvoを走らせ、5分19秒546の最速ラップタイムを記録した。これにより、ステファン・ベロフがポルシェ・956で記録し、長年更新されなかった6分11秒13のラップレコードが破られた。このタイムを記録した周回で、最高時速は369.4 km/h (229.5 mph)を記録しており、1周の平均時速は233.8 km/h (145.3 mph)だった。この記録は、後に登場したフォルクスワーゲン・ID.Rでも全く歯が立たない(6分5秒)ほどの速さのタイムであった。
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