32 cm艦載砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/09 20:22 UTC 版)
カネーは32 cm艦載砲を主として輸出マーケット向けに開発したが、当時のものとしては非常に強力であった。砲は最初1884年にスペイン海軍に、6隻の戦艦を含む大規模な海軍増強計画の一端として選択された。スペインの軍需企業であるホノトリア(Hontoria)がライセンス生産を行うこととなったが、予算の都合からペラヨの1隻のみが建艦された。 カネーの大日本帝国への売り込みは、さらに成功を収めた。お雇い外国人で艦船設計技師であった、ルイ=エミール・ベルタンが1887年に設計した松島型防護巡洋艦の主砲として採用されたのである。これは、圧倒的な火力(強力な艦載砲、魚雷)を比較的小型の艦に実装するという青年学派に合致するものであった。この思想は、当時前弩級戦艦を購入する予算を持たなかった帝国海軍の興味を強く引いたのである。32 cm主砲は松島、厳島、橋立の3隻に採用された。 32cmカネー砲の仕様項目ペラヨ松島型口径/口径長32 cm/35口径 32 cm/38口径 砲身重量48.2トン 67トン 砲身全長12.78 m 12.78 m 砲腔長12 m 12 m 発射速度1発/5分 1発/5分 砲弾長不明 112 cm(徹甲弾) 砲弾重量400 kg(徹甲弾) 449 kg(徹甲弾)350 kg(通常弾) 炸薬量不明 10.17 kg(徹甲弾) 装薬量220 kg(褐色火薬) 280 kg(徹甲弾、褐色火薬)220 kg(通常弾、同上) 初速620 m/s 703 m/s(徹甲弾)610 m/s(通常弾) 最大射程不明 12,000 m 有効射程不明 8,000 m 日清戦争での実戦経験においては、発射速度の遅さと数多くのメカニカル・トラブルのためわずかに成功と言える程度であった。砲が艦に比べて重すぎて傾いてしまうため、舷側方向への射撃は困難であった。また、仕様では5分に1発の発射が可能となっているが、再装填の手間のため、実戦においては1時間に1発の発射がせいぜいであった。
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