3節個別事項についての検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 15:04 UTC 版)
「大津市中2いじめ自殺事件」の記事における「3節個別事項についての検討」の解説
自殺の練習と葬式ごっこ生徒の第二回目のアンケートに、自殺の練習をした、葬式ごっこがあった、という旨の記載があったので、そのような事実の有無について、個別に検討を加える。 自殺の練習: 前述したとおり、10月に入り2度、教室及び廊下の窓でBが身を乗り出すような形を見せて、Aに対して同じようにやれと命じている。しかし、Aはこれを頑なに拒否したため、Bが命じたような体勢をとることはなかった。以上のとおり、自殺の練習を実際にさせられていたということは言えないものの、自殺の練習をしろと言われたととは認めることができる。なお、第二回のアンケートには「自殺の練習といって首をしめる。」ということが記載されていたものの、記載した生徒はこの事実を見ているということではなく、このような方法で自殺の練習をさせたということを認めることはできない。 葬式ごっこ: そのような事実があったとは認められなかった。アンケートを記載した生徒は、直接そのような行為を見たことはなく、同級生から聴いたことであり、その同級生はきょうだいから聴いたということであった。情報源といわれたアンケートを記載した生徒の同級生のきょうだいも、アンケートの後そのようなことがあったと知ったということであり、現場を見たということではなかった。以上から、葬式ごっこがなされていたと認めることはできない。 万引きと金品の強要: 生徒のアンケートには、複数名から、Aが万引きをさせられていたと聴いたということ、金品を強要されていたと聴いたことが記載されていたので、万引きの強要及び金品交付の強要の有無についても、個別に検討する。 万引きの強要について: ア Aが万引きをしていたことについては、Aが友人や父親にその旨を告白していたこと、一緒に万引きをしたことがあるという生徒からの聴き取りから認められる。Aが万引きを強要されたところを見ていたという直接的な資料は存在しなかった。また、A、B、Cと行動を共にし、自らも万引きをしたと認めている仲間は、自分が一緒に居るときに、Aが万引きを強要されていたことはない旨を述べている。 しかし、一方で、Aの友人は、9月29日か30日の塾からの帰り、Aから、「万引きをさせられている。止めようと 思って断ったら少年Cとかに殴られる。」と言われた、と教員からの聴き取りの際に述べている。この点について、同人からは直接聴き取りはできなかったものの.同人から聴き取りをした教員によれば、その友人は、正義感の強いしっかりした人物であり、聴き取りを実施したのは、その生徒からAのことで話をしたいというと申し出たからであったという。そして、上記の内容は、何か話したいことがあるならば話して欲しいと投げかけた際に、一番始めに出てきた回答であるという(この点、生徒の話を聴き取った教員のノートにも、最初に塾の帰り29日と30相談『万引きをしてると皆言ってるから、止めようと思って断ったら殴られる。』←〇〇(C の名前をひらがなで書いている。)などに記載がある。)。生徒自ら、教員に対して、自らの知っていることを話したいと申し出たこと、Aとのやりとりについても、Aから「自分は万引きをさせられている。」「止めようと思っても、それを言ったら殴られる。」と言われた。「誰に殴られるんや?」と聞くと少年Cの名前を言ったので「そんなん、でも止めなあかんのちゃう?」と言い、さらに「殴られたりとか、そういうことするんやったら、俺らの○○組に来い。」というような話をした、というように具体的である。この友人の話からすれば、この友人が作り話として教員に話したとは思えない。また、Aも、何ら強要されていないにも関わらず強要されていたということは考えがたい。これらのことからすれば、その友人が聞いたように、少なくともCから万引きの強要がなされていたのではないかと推測はできるところである。しかし、Aから話を聞いた友人からの聴き取りはできておらず、万引きについて、いつころ、どのようなことを強要され、それを断った際にどのような暴力を受けていたのかということまではわからないことからすれば、前記のとおり、万引きの強要があったのではないかとの推測は働くものの、事実としてそのようなことがあったとまでは結論づけることはできない。よって、万引きの強要があったと認めることはできない。 金品交付の強要について: Aのお金にまつわることとしては、次のような出来事があった。 終わり頃からということも考え合わせると、Aが、金員の持ち出しを強要されていたことがあったからではないかという疑問が生じないわけではない。しかし、これらはあくまで推測の域に止まるものであり、上記各事実からそこまで推認することは論理的に飛躍があると言わざるを得ない。よって、Aに対して金員の持ち出しの強要があったと認めることはできない。 自死前日(10日) 夜のAから少年Cに電話があったか否かについて11日の3時間目と4時間同の休み時間、Aが亡くなったという噂が流れていた際、少年Cが「Aから昨日の夜に『僕、死にます。』と電話してきた。「あほかあいつ。」と、教室で話していた。 ところで、前日の10日Aは、朝から、母親と共に母親の運転する車で他県に旅行に行った。墓参りをした後、温泉や観光地を巡った後に帰路につき、午後7時30分には自宅に戻った。自宅に戻ったAは、父親とと一緒に夕食を取り、その後は一緒にテレビ鑑賞し、就寝している。その問、自宅の固定電話からの発信はなく、このことはA宅の電話履歴から明らかである。Aが、テレビを鑑賞した後、外出したか否かは不明であり、外から電話をかけたか否かは明らかでない。また、Aは、携帯電話を持っておらず、携帯電話から電話をかけたということもありえない。さらに、旅行からの帰り道で、Aが電話を架けたということを認める資料はない。以上のととからすれば、10日の夜に、Aが、少年Cに電話をかけて、「死ぬけ」と伝えた可能性はゼロではないものの、あくまでもその可能性があったに過ぎず、そのような事実があったとまではいえない。 なお、電話がなかったにも関わらず、何故、少年Cが10月11日に「Aから昨日の夜に『僕、死にます。』と電話してきた。あほかあいつ。」と、教室で話した理由については、明らかにできなかった。
※この「3節個別事項についての検討」の解説は、「大津市中2いじめ自殺事件」の解説の一部です。
「3節個別事項についての検討」を含む「大津市中2いじめ自殺事件」の記事については、「大津市中2いじめ自殺事件」の概要を参照ください。
- 3節個別事項についての検討のページへのリンク