3度目のドラフト会議
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11月22日、ドラフト会議が午前11時から東京・九段下のホテルグランドパレスの「ダイヤモンド・ルーム」にて行われる。巨人はその開始直前に長谷川球団代表が同ホテルにて金子コミッショナー、鈴木セ・リーグ会長に対し江川の支配下選手登録の申請を却下した事に対する異議申し立ての文書を手渡し、前日のボイコット宣言通りドラフトを欠席。史上初めて11球団での開催となった。 ドラフト会議は今回から、それまで予備抽選を行い指名順を決定する方式から、全球団が第1位に指名する選手を入札し、一人の選手に複数の球団が指名した場合は改めて抽選を行い交渉権を獲得する球団を決定するという新方式が採用された。江川には南海、阪神、ロッテ、近鉄が1位指名し、抽選の結果、阪神が交渉権を獲得した。江川との交渉権を喪失した西武は社会人野球・住友金属の投手の森繁和を1位指名し、独占交渉権を獲得した。江川はこの日、弁天町にある当時交際していた恋人の菊池正子の実家でドラフト会議のテレビ中継を観ていたという。ドラフト会議が終了後、金子コミッショナーは「巨人は十分に反省しなければならない。二十一日の実行委でも、巨人のやり方を少しでも支持した球団は一つもなかったではないか。自分たちは何をしたのかを冷静に考えるべきだ」と語り、巨人を批判した。 巨人のオーナーの正力亨は午後3時半より東京・大手町の読売新聞本社にて記者会見し、野球協約ではドラフト会議は全球団の出席を不可欠の要因としており、今回のドラフトは効力が発生せずドラフト会議は無効であるとして、コミッショナーに提訴状を出したと発表する。 江川との独占交渉権を獲得した阪神は、ドラフト会議終了後、球団代表の岡崎義人、スカウトの小林治彦、田丸が船田事務所を訪問した。岡崎が玄関から呼び掛けたが中から「お会いできません」「蓮実は出掛けております」などとの返答があったのみで、わずか2分足らずで引き揚げた。夕方、田丸が栃木県小山市の江川の実家へ電話であいさつしたが、江川の母親の美代子が「巨人の江川ですのでお会いできません」と返事した。23日に江川の実家を訪問する予定だったが、当日になって取り止めた。阪神は冷却期間を置いて、その後に江川と交渉を行うことを決めた。
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