21世紀初頭の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 19:18 UTC 版)
「ジョージアとロシアの関係」の記事における「21世紀初頭の変化」の解説
21世紀初頭前後、旧ソ連諸国をめぐる国際情勢は大きく変化した。ソ連解体当初は混乱がみられたロシアではウラジーミル・プーチンの政権が成立して以降は安定性を高め、旧ソ連諸国に対する求心性を再び回復してきた。また、冷戦終結後、唯一の超大国となったアメリカ合衆国が北大西洋条約機構(NATO)の拡大やユーゴスラヴィア空爆などを通じてロシアとの対立を深め、旧ソ連諸国に関与の度合いを深めた。さらに、アフガニスタンのターリバーン政権やロシアのチェチェン共和国のイスラーム教過激派の活動の活発化などにみられるようにイスラーム圏の影響が強まった。一方で、中国が高い経済成長を背景に発言力を増し、2001年結成の上海協力機構などを通じて旧ソ連諸国に経済的な働きかけを強めた。こうした諸要因によって旧ソ連諸国は変貌を余儀なくされたが、それに加えて次の2つの重大事件が大きな衝撃をあたえた。 1つは2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件であり、ロシアはテロリズムとの戦いをかかげるジョージ・W・ブッシュの政権に協力し、一時的に米露関係(英語版)は好転した。それは対ターリバーン政権のため、ロシアの裏庭にあたる中央アジアに米軍基地が置かれたほどであったが、のちに起こったイラク戦争などで再び米露関係は悪化した。 もう1つは2003年から2005年にかけて、ジョージア(当時はグルジア)、ウクライナ、キルギスでそれぞれバラ革命、オレンジ革命、チューリップ革命という民主化革命が相次いだことである。これらはそれまで権威主義的体制にあった他の旧ソ連構成諸国をおおいに動揺させたのである。 ジョージアでおこったバラ革命はアメリカ合衆国政府やジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団からの支援を受けたといわれるが、その原因のひとつには上述したようにロシアの制裁によるジョージアの電力・エネルギー事情の劣悪さがあった。首都トビリシでは電力を求める抗議行動が幾度も繰り返された。ただし、アブハジアや南オセチアではロシアから直接送電がなされていたといわれている。シェワルナゼのロシアに対する宥和的な姿勢もジョージア国民の反感を引き起こしたのである。 こうしたなかで、21世紀のロシア外交において最も基本的な姿勢として顕著になっていくのが、「多極主義世界の追求」である。すなわち、世界はアメリカという唯一の極と、その他の複数の国々から構成されるべきではなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど複数の極から成り立つべきであり、ロシアは政治的にも経済的にもそれらの極の1つとして機能しうるとみなす立場である。これは、古典的な勢力均衡(バランス・オブ・パワー)の思想に範を置いている。
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