2010年PIIGS危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 10:06 UTC 版)
「PIIGS」の記事における「2010年PIIGS危機」の解説
詳細は「2010年欧州ソブリン危機」を参照 2009年末からギリシャを中心とした財政破綻とユーロへの影響の懸念が強まっており、PIGS危機(PIGS Crisis)と呼ばれることもある。 2010年2月現在、これらPIGS諸国の中で最も懸念されているのはギリシャで、低貯蓄率(GDP比7.2%、ユーロ圏平均は約20%、アイルランド17%、スペイン19%)、高い財政赤字比率(GDP比12.7%)、2009年10月の総選挙による政権交代後明らかになった財政赤字水準の過少申告による国家的な粉飾の露呈など、ギリシャ問題がユーロ最大のアキレス腱となっているとされる。次に懸念されているのがポルトガルで、低貯蓄率(GDP比10.2%)、およびギリシャと同様の粉飾も懸念されている。これら2国では国民純貯蓄も減少しており(ユーロ圏平均はGDP比+6%)、特にギリシャの純貯蓄の減少は10年来で、この点が不動産への過剰投資から経済不振に陥ったスペインやアイルランド以上に問題の解決を困難にしている。 2010年2月4日、国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロス=カーン専務理事は、ギリシャ支援の用意を表明する一方、ギリシャ政府に問題解決への取り組みを呼びかけた。これに対し、欧州中央銀行では2009年12月上旬時点ではIMFの支援は必要ないとしていたものの、2月11日、欧州連合ユーロ圏16カ国首脳の会合でギリシャを支援することで合意し、ギリシャに2010年に財政赤字4%ポイント削減目標の達成を求めた。これを受けてIMFはギリシャの財政改革を技術面で支援する用意を表明した。 それでもギリシャ国債のCDSスプレッドは拡大し、ギリシャの財政危機に対する不安は収まらなかったことから、ギリシャ発の金融危機を抑え込むべく、2010年5月10日、EUとECBは金融安定化のために緊急支援策を発表、EUは最大7500億ユーロの支援策実施を、ECBはユーロ圏の政府債および民間債券を購入する方針を明らかにし、FRB、ECB、日本銀行、カナダ中央銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行は市場のドル枯渇を防ぐために、ドルスワップ協定を締結した。
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