1990年代以降のエアロダイナミクスの規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 07:38 UTC 版)
「フォーミュラ1カー」の記事における「1990年代以降のエアロダイナミクスの規制」の解説
1990年代からは上記の技術の熟成と、乱気流の削減によって多くのダウンフォースを発生させる時代になった。また、CFDや風洞によるシミュレーションにより、マシンの形状が複雑化していくようになった。2000年代中盤にかけて、マシンには小型の空力パーツが多数取り付けられるようになり、マシンの空力的な性質が敏感になることで、乱気流内を走行しているマシンの挙動が変化し、前方のマシンを追い抜くことが困難となることが問題となった。そこで2009年には大幅なレギュレーション改定が行われ、空力パーツの一部禁止が行われた。規制が厳しくなる中、以下の技術や機構が開発、研究された。 ディフューザー マシン後端下部に装着されている、後ろ上がりに傾斜した板状の部品。これにより車体底面の空気を引き抜き、ダウンフォースをより多く発生させる。2層構造にすることによって開口部を拡大したマルチディフューザー、排気を吹きつけて内部を流れる空気の量を増加させたブロウンディフューザーなど、より多くのダウンフォースを発生させる方法が試されたがいずれもレギュレーションで禁止された。 ハイノーズ・コンセプト 前述の通り、ウェッジシェイプ型のボディは空気を上に押し上げることでダウンフォースを発生させるために採用され普及した。しかし空力が研究されるにつれ、車体の底面や後方でより多くの空気を利用できる方がより多くのダウンフォースを発生させることが可能であり、そのためにはノーズの下に空気を流すことが有効であることが分かった。ティレル・019やベネトン・B191が先駆けて採用すると、1990年代後半からほとんどのコンストラクターが採用した。さらにノーズ下により広い空間を確保するために、サスペンションの位置は引き上げられノーズは薄型化していった。現在ではクラッシュ時のドライバーの安全性を確保するために、ノーズ先端部の高さは規制されている。 空力操作デバイス ウイングなどの空力的付加物は一部の例外を除き走行中に動いてはいけないことが規定されているが、各チームは抜け道を探し続け、2000年代後半から2010年代にかけて、走行中に空力的特性を変化させるデバイスが開発された。代表的なものには、 ドライバーの操作によってリアウィングのダウンフォースを調節するFダクト(マクラーレンが開発するも、禁止される) 高速走行時の高い風圧によってたわませ、抵抗を低減するフレキシブルウィング(2008年のレギュレーション厳格化に伴い消滅) リアウィングの角度を変化させ空気抵抗を減らすドラッグリダクションシステム(通称DRS,2011年よりレギュレーションの範囲内での使用が認められている) がある。
※この「1990年代以降のエアロダイナミクスの規制」の解説は、「フォーミュラ1カー」の解説の一部です。
「1990年代以降のエアロダイナミクスの規制」を含む「フォーミュラ1カー」の記事については、「フォーミュラ1カー」の概要を参照ください。
- 1990年代以降のエアロダイナミクスの規制のページへのリンク