高橋正治による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:01 UTC 版)
第一類系統A系統(伝為氏本系統)- 三条西家旧蔵小汀利得旧蔵酒井宇吉所蔵 伝藤原為氏筆本(古文学秘籍複製会版影本)、東京教育大学(現・筑波大学)附属図書館蔵大永本、高橋正治・玄陽文庫本の3本。 B系統(群書類従本系統)- 群書類従本、古注本、東京大学附属図書館所蔵南葵文庫旧蔵本、古活字本など。 C系統(伝為家本系統)- 尊経閣(前田家)蔵 伝藤原為家筆本(前田家本)の1本のみ。 D系統(寛喜本系統)- 文明十年藤原親長書写本、陽明文庫蔵本、蓬左文庫所蔵左衛門尉冷泉為衆筆本、多和文庫所蔵飛鳥井雅俊本、三条西家旧蔵学習院大学本など。巻末に「花山院の作り物かたりなりとある本にあり」とあり、次に宇多法皇の経歴を記す。 E系統(天福本系統)- 厳島神社宮司野坂元定所蔵天福本、大宰府神社所蔵本、無窮会文庫本(第139段まで)の3本。 F系統(狩谷本系統)- 静嘉堂文庫所蔵狩谷棭斎旧蔵本、京都大学文学部国語国文学研究室所蔵近衛稙家筆本、大東急記念文庫蔵本、高橋正治氏架蔵本など。 G系統(首書本系統)- 北村季吟著『大和物語抄』(拾穂抄)、切臨著『大和物語首書』(首書本)、木崎雅興著『大和物語虚静抄』(虚静抄)の3本。純粋度は極めて低下。 H系統(桂宮本系統)- 宮内庁書陵部所蔵桂宮本、京都大学附属図書館所蔵中川家旧蔵本、中院通勝筆細川家永青文庫本、島原松平文庫蔵本など。第173段の次に、寛喜本と同じく「花山院の御つくり物かたりとある本にあり」としるし、次いで、「これは又こと本に書きたり」とあり、附載説話第一類があり、最末に寛喜本と同じく宇多法皇の経歴を載せる。 第二類(P系統)- 姉小路基綱写天理大学附属天理図書館所蔵御巫清勇旧蔵本(御巫本〈みかなぎぼん〉)、愛媛大学附属図書館所蔵鈴鹿三七旧蔵本(鈴鹿本)の2本。第172段の後に附載説話第二類9章段が入り、第173段へ続く。第173段のあと、「此物語は花山院御作なりと本にあり」とあり、次に第169段が移されている。これらは本文の特徴から、藤原清輔や顕昭などの六条家の人々のあいだで使われていた系統の伝本ではなかったかといわれる。御巫本と鈴鹿本は系統は極めて近いが、本文にはかなり多くの異同がある。 第三類(Q系統)- 吉良義則氏旧蔵久曾神昇所蔵勝命本(しょうみょうぼん)と、その祖父本たる田村専一郎旧蔵 九州大学附属中央図書館所蔵支子文庫本(支子文庫本、田村本、または光阿弥陀仏本)の2本。第142段と第143段との間に他本にはない一段を有し、第173段を欠く。勝命本には「美濃権守入道勝命之以進上之本、〈中略〉、正治二年八月十九日 光阿弥陀仏 素光法師是也」とあり、その後に延応二年三月廿九日の奥書と天文七年六月五日、守梁の書写の旨の奥書がある。
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