駐車場問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 08:25 UTC 版)
「日本におけるオートバイ」の記事における「駐車場問題」の解説
ヨーロッパ各国ではオートバイの普及率が日本より少ないにもかかわらず、都市部の道路脇にオートバイ専用の駐車場所が設けられている例が少なくない。これに対して日本では、2006年の駐車場法改正まで原動機付自転車以外のオートバイ用駐車場の整備が義務づけられておらず、オートバイ用駐車場はほとんどなかった。四輪車用の駐車場や自転車駐輪場を利用しようとしても、様々な理由により管理者等に断られる場合が多かった。駐車場法改正によりオートバイも駐車場整備の対象となったが、その適用は施行後に計画あるいは作られた施設などが対象で、駐車場不足は未だに解消できていない。例えば、2005年に実施された日本二輪車普及安全協会の調査によると、民間駐車場の78.6%がオートバイの駐車は「お断り」で、オートバイ専用駐車枠を設けている民間駐車場は500件中28件 (5.6%) にとどまっている。また、東京都道路整備保全公社の2006年時点での調査によれば、東京都心22区におけるオートバイの駐車実態が1万3000台に対して、その駐車供給量は約1000台分しかない。 こうした実情の背景として、駐車場法の不備だけでなくオートバイは占有面積が少なく邪魔になりにくく、悪質な場合でない限り駐車違反の取締りから実質的に除外されることが多かったことがある。そのためオートバイ用駐車場の必要性が軽んじられてきた。ところが、2002年の交通バリアフリー法施行から、特に歩道上に駐車されたオートバイに対する取締りが徐々に目立つようになり、2006年6月1日の道路交通法改正からオートバイの駐車違反も四輪車と同様に厳しく取締るようになって、オートバイ用駐車場の不足が改めて深刻なものとして顕在化した。警視庁や警察庁が公開する首都圏におけるオートバイの駐車違反摘発件数によると、法改正直前の2005年までは緩やかに推移していたのに対し、2006年は2倍を超え、2007年には5倍以上の26万6806件となっている。こうした傾向は全国的にも同様で、改正道路交通法施行前の2005年にの摘発件数は全国で約11万件だったのに対し、2006年には改正道路交通法施行後の半年間(6月から12月まで)だけで約23万4千件、翌2007年には1年間で約52万1千件と急増している。一方で、四輪車を含めた全体での摘発件数は、2007年に全国で300万4383件、前年比105万595件 (53.8%) の増加であり、オートバイの摘発件数だけが急速に増加していることがわかる。 このオートバイ用駐車場の深刻な不足は駐車監視員制度の導入以前から指摘されており、その後オートバイ用駐車場の整備は進んだものの、日本自動車工業会の資料によると、2012年現在においても、自動二輪車の保有台数当たりの駐車場整備台数は四輪車の六分の一程度であり、深刻な状況は解消されてない。
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