養成課程と職務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 15:13 UTC 版)
二年現役海軍士官の採用は、それぞれの専門分野の旧制大学や旧制専門学校を卒業した者などが志願でき、身体検査が課された。軍医科の場合には大学医学部・旧制医学専門学校、主計科士官であれば大学法学部・経済学部・商学部などと高等商業学校の卒業者、あるいは高等試験合格者を資格者とする。技術科士官は工学部や理学部系統の学部・専門学校に限らず、農学部系からも志願できた。法務科士官の場合は、大学法学部を卒業したことに加え、高等試験司法科に合格して司法官試補の資格を有することも要件であった(海軍武官任用令第8条の6)。 二年現役士官制度の特色は、軍学校以外の卒業生が、兵としての訓練期間を経ることなく、士官か少尉候補生として任用されることである。当初は大学卒業者であれば各科の中尉、医学専門学校・薬剤系専門学校卒業者であれば軍医少尉・薬剤科少尉、その他の専門学校出身者でも少尉候補生に任じられた。ただし、1942年からは永久服役者も含め、少尉候補生に劣後する見習尉官を経ることになった。この点、同じく一般大学卒業者などを対象にした海軍士官養成制度でも、飛行科予備学生の場合は海軍兵学校在学中の生徒にすら劣後する身分に置かれ、1942年に兵科も採用する海軍予備学生へ改正されてから少尉候補生に準じる身分に変わった。また、日本陸軍の場合には、衛生部(軍医科に相当)や経理部(主計科に相当)などの各部将校も含め、二等兵として入営後に幹部候補生を受験する仕組みになっていた。 任用後の養成方法は科ごとに異なっている。技術系の士官の場合、永久服役の士官と基本的に同内容で、砲術学校で3カ月半の基礎軍事教育を受けた後に海軍工廠などでの実務練習と海上実習を経験した。ただし、現役期間が短いため、通常2回の海上実習は1回(約120日)のみで終了した。これに対し、主計科については海軍経理学校で5カ月の即成教育の後に実戦部隊へと赴任した。 通常士官の永久服役と異なり、2年間で現役期間を終えると予備役に編入され、軍務を去ることができる建前であった。そして、現役定限年齢(1941年以降は予備役定限年齢)まで予備役に服し、有事の際には通常の予備役士官と同様に召集されることになる。もっとも、戦争や事変などの最中には終結まで服役期間の延長を命じることが可能であり、太平洋戦争期には2年が経過してもそのまま軍務に留まることが多かった。また、現役中に志願して許可があれば永久服役も可能であった。 職務の内容は、通常の各科の将校相当官と同様である。したがって、各種の艦船から海軍航空隊、海軍陸戦隊や海軍設営隊などの陸上部隊まで幅広く海軍の組織で活動した。
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