食品機械用グリース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 23:30 UTC 版)
アメリカ国立科学財団(NSF)は、食品機械用潤滑剤の規格を定めている。この規格は「食品工場用潤滑油 NSFガイドライン」と呼ばれる。現在、この規格が食品機械用潤滑剤の規格として唯一である。日本においても食品機械用グリースの販売に際して同規格は参照されている。食品工場用潤滑油 NSFガイドラインの内容を以下に示す。 H1:Lubricants with incidental contact 食品に接触するべきではないが混入しても安全な潤滑剤。言い換えれば食品との偶発的接触が許諾される潤滑剤。原材料は、アメリカ食品医薬品局(FDA)の規格21CFR 178.3570に記載された物質および、FDAが安全基準合格証(GRAS)を与えた物質(GRAS物質)のみでなければならない。 H2:Lubricants with no contact 食品に絶対に接触してはならない潤滑剤。ただし、食品と接触する可能性のない箇所(食品工場内部や周囲で食品の置かれていない所)では使用が可能。鉛化合物などの明らかに人体に有害である物質を含まない。 H3:Soluble oils 食肉等を吊すフックやレールに引っ掛けるトロリーに塗布する防錆用オイル限定の規格。原材料はFDA規定の食用油(大豆油、コーン油など)やGRAS物質のみでなければならない。 HT1:Heat transfer fluids with incidental contact 偶発的に食品に触れる可能性がある箇所で使用できる熱媒体油。原材料はFDAの21CFR 178.3570に記載された物質、172、182及び184で規定された物質のみでなければならない。 HT2:Heat transfer fluids with no contact 食品に触れる可能性がない箇所でのみ使用できる熱媒体油。鉛化合物などの明らかに人体に有害である物質を含まない。 3H 直接食品に接触する目的で使用される潤滑剤。食品との直接接触する離型剤、グリルやフライパン等の上で焦げ付きを防ぐ植物油など。 NSFは各規格の潤滑剤を登録している。衛生管理基準の国際的な規格FSSC22000は食品や包装容器メーカーを対象に、食品への意図的な異物混入の防止策などを規定している。FSSC22000では食品への潤滑剤混入リスク対策としてNSF H1登録潤滑剤の使用を推奨している。食品機械用グリースの用途としては煮物釜、オーブン、ミキサー、ミンチ機、食肉加工機、洗瓶機、瓶詰機、缶詰機、食品用コンベアなどである。
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