食品消費期限と安全性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 01:54 UTC 版)
消費期限は一般に、平均化された所定の状況下での状態変化の度合いによって決定される。例えばセルフサービス式店舗の店頭ショーケースに並べられた食品は、明らかに輸送や陳列などの際に温度変化に晒され、冷蔵庫内にしまわれたままの食品よりも早く劣化する。こういった販売時における環境の変化といった事情を含めての消費期限ではあるため、保管環境によっては飲食に問題の無い場合もある。 生物の組織は死亡により腐敗の過程を始める。腐敗菌の増殖により、有毒物質が蓄積されてゆく。食物は病原性微生物の混入によるいわゆる食中毒の原因になるだけではない。代表的なカビ毒(マイコトキシン)のうち発癌性物質はアフラトキシン、ステリグマトシスチンの2種である。腐敗牛肉からは多量の発がん物質が検出される。がんの原因の約3分の1は食事が原因である。風味の低下と有毒物質が蓄積することもあるが、カビ毒など腐敗臭を伴わずに生成される有毒物質もある。加熱により細菌が死滅したり悪臭が消えても、それまでに生成された有毒物質が残存することもある。生鮮食品は、なるべく新鮮なうちに消費することが必要である。 食品業者は、消費者に対して、安全な食品を供給する責任と義務がある。食品の安全に関する虚偽は、建物の安全に関する虚偽と同様に、重大な犯罪であり、農林水産省は、食品表示110番などにより食品表示の監視を行っている。 日本で2007年に発覚し社会問題化した不二家製品に利用された牛乳の消費期限切れ問題では、実質的に健康被害事例は同社の過去に遡っての製品全般に関しての調査では問題が発見され報道されたものの、この消費期限切れ牛乳の使用とは直接的な関係はみられない。 ただ「消費期限切れの食品を飲食した場合」の一般的なイメージである「健康被害を受ける(腹を下す)」という消費者の不安を煽り得る要素でもあるため、実際問題として品質に問題が無かったとしても、他の健康被害事例の顕著化にも伴い、同社は消費者や社会よりの不信感を被っている(→不二家期限切れ原材料使用問題)。
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