食品の腐敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/27 08:42 UTC 版)
「シュードモナス・フラギ」の記事における「食品の腐敗」の解説
一般的な冷蔵条件である5度以下での食肉の腐敗に関与する生物はシュードモナス属、Achromobacter(英語版)属、Lactobacillus(英語版)属、Micrococcus属であるが、その中でもシュードモナス属細菌は好気的条件で保存された食肉に最も広く分布する。特に、Pseudomonas fragiはP. fluorescensとP. putidaとともに、冷凍保存中の食品から検出される食中毒の原因菌とされる。これらの菌種が食品中に増殖すると、そのペクチン分解活性により食品が茶色化する。 Pseudomonas fragiは、特に、酪農製品(牛乳、クリーム、バター、コテージチーズなど)の腐敗の原因として知られる。シュードモナス属菌は原料乳中で脂肪分解性およびタンパク質分解性の酵素を産生し、腐敗させる。 P. fragiも含めてシュードモナス属菌は、好気環境で冷凍保存されている魚肉製品中で異臭物質(アルデヒド、ケトン、エステル)を産生し、異臭の原因となる。P. fragiはアミノ酸の分解により異臭物質を産生する。 5度で冷蔵している鶏肉にP. fragiを接種し塩類可溶性タンパク質の電気泳動により経時変化を追跡すると、2日間は鶏肉タンパク質に大きな変化はないが、5日後に分解がはっきりと観察される。分解産物のバンドは7日後にはっきりと現れる。14日後になると、ほとんどのタンパク質は分解されて消失する。 2度で冷蔵保存した牛肉の深部において、約104CFU/cm2接種したP. fragiは3日後に10倍の約105CFU/cm2、7日後に約107CFU/cm2、14日後に約109CFU/cm2に増える。少なくとも接種3日目から腐敗は始まり、牛肉内部のpHの上昇および腐敗臭の原因である揮発性有機化合物とアミノ態窒素の増加が観察される。この増殖速度と腐敗速度は、同様に腐敗細菌であるProteus vulgaris(英語版)よりも大きい。
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