隕石発見時に行う手続き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 15:19 UTC 版)
隕石は落下時に、地球の重力によって激しく分解され、大気との断熱圧縮で激しく発熱する。このとき隕石表面が融け、溶融殻 (Fusion crust) が出来る。しかし、一般に隕石かどうかの判定は専門家でないと困難である。また、落下直後ならば見つけやすい。屋根を突き破って落ちてきたり、木の枝が折れていて下に見慣れない岩石があったときは隕石である可能性が高い。また、火球が観測された翌朝に発見されることも多い。 しかし、実際に隕石が発見されるのは極めて稀である。山中や川原などで隕石のように見える石を見つけても、ほとんどは地球上に存在する鉱物、岩石、もしくは鉄鉱石を人間が加工した人工物である。いずれにしても鑑定するには大学の研究室やそれに類する研究機関に送付する必要がある。実際の鑑定としては、落下直後ならば、隕石中に含まれる放射性核種の壊変(崩壊)に伴う放射線の測定、また、酸素同位体測定、希ガス同位体測定などの同位体比測定を用いる。しかし、これらの測定は破壊分析のため用いる試料が微量(数マイクログラムから数ミリグラム)必要となる。隕石は大気圏突入前まで宇宙線に曝されているため、エネルギーの高い宇宙線による隕石構成元素の核破砕反応によって26Alなどさまざまな核種が生成される。これらには当然放射性核種も含まれる。中には極めて短寿命の放射性核種も存在するため、落下直後(数時間以内)に測定を行うことは、核宇宙化学にとって非常に重要である。 隕石と称して岩石を売る業者(国内外問わず)があるが、本物である可能性は極めて低い。これも鑑定が困難なことに起因している。 日本では、一般に、最初に拾い上げた人物が所有権を主張することができるとされる。ただし、私有地において見つけた(拾い上げた)場合、地面にめり込んでいるかいないかで所有権が分かれ、埋まっている場合は、土地の所有者の物とされ、埋まっていない場合、拾い主に権利がある。土地の所有者が真剣に所有権を主張した場合、この限りではない。また、同じく建物にめり込んだ場合は建物の所有者が権利を主張できる。 隕石や化石の国外への持ち出しを禁じている国もある。
※この「隕石発見時に行う手続き」の解説は、「隕石」の解説の一部です。
「隕石発見時に行う手続き」を含む「隕石」の記事については、「隕石」の概要を参照ください。
- 隕石発見時に行う手続きのページへのリンク