部分低床構造と内装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 17:19 UTC 版)
「名鉄モ800形電車 (2代)」の記事における「部分低床構造と内装」の解説
車内全体およびクロスシート部分。中央部に向かって床が低くなっている(2018年・豊橋鉄道) 本形式は部分低床構造の車内が特徴である。高床部分は台車上から車端まで、すなわち車両両端の各3.09メートルのうち運転台以外の部分であり、レール上面からの高さは72.0センチメートル。一方低床部分は車両中央部、車体中心から前後各1.16メートルの範囲で、レール上面からの高さは42.0センチメートルとなっている。高床部分と低床部分は階段ではなく10パーセントの勾配のスロープで繋がれる。この10パーセントの勾配は他の電車のスロープにも採用されており、電車車内に10パーセントのスロープを設置して急ブレーキ時の立席客の安全性などを検証した結果問題点がなかったことから本形式でも採用された。 中央の乗車用ドア部分は20パーセントのスロープによってさらに床面が下げられており、ドアと連動して展開されるドア外のステップはレール上面から38.0センチメートルの高さとなっている。この結果、ドアステップと停留場のホームとの段差は7.5センチメートルに抑えられている。さらに、付属する引き出し式補助板を用いることでこの段差を完全に埋めることもでき、車椅子利用者の乗降に対応する。このように乗車口の段差を解消することで乗車時間の短縮を図っている。前後の降車ドアは、同様にドア外ステップがあり、レール上面高さ32.0センチメートルの最下段と高床部分の間には高さ20.0センチメートルの段差が2段残る。段差が残るのは、ワンマン運転時に運転手が運賃の収受などを行うことから低床化にかかわらず迅速な降車は望めないとの判断からである。またドア開閉を知らせるドアチャイムの装備もある。 低床部のロングシート。左は通常座席、中央は折りたたみ座席。豊橋鉄道では撤去されているが、ドア脇のスペースには名鉄・福鉄では整理券発行器(右)がある。 車内にスロープがありロングシートは適当でないことから座席はクロスシートが基本である。クロスシートはドア間に5列ずつあり、通路を挟んで2人掛け座席と1人掛け座席が並ぶが、両運転台寄りの各2列は両側に1人掛け座席が並ぶ。座席は両運転台寄りの各2列はそれぞれの運転台方向を、その他はそれぞれ車体中心方向を向く。中央部、乗車用ドアの向い側のみロングシートが配置されており、2か所のうち片側(パンタグラフ設置側)は車椅子スペースを兼ねるため折りたたみ式の座席となっている。座席定員は30人で、立席をあわせた車両定員は72人である。 天井も床と同様に高低があり、高床部分は床上2.1メートル、低床部分では床上2.2メートルと差がある。天井には中央部に2列の冷房吹き出し、その両側に照明を配置。また乗客の安全のため高床部・低床部にはつり革が、反対にスロープ部分にはスタンションポールが多く取り付けられている。窓のカーテンはフリーストップ式ロールカーテンを採用。荷棚は一部座席上のみに設置されている。 車内は明るい空間とするため、内張りの化粧板にはライトグレー系の明るい色彩を採用。座席の生地は明るい青色を主体に黄色・橙色のペイントタッチ模様が入るものとした。またスタンションポールも視認性の良いローズピンクで塗装されている。
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