遅れの改善および公害抑制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 01:11 UTC 版)
「ラウンドアバウト」の記事における「遅れの改善および公害抑制」の解説
ラウンドアバウトの利点として遅れの改善を挙げることができる。遅れとは、交差点のない道路を直進するために必要な時間に対して余計にかかる時間のことで、例えば赤信号の待ち時間、一時停止時間、徐行、減速、加速、などに必要な時間のことである。ラウンドアバウトの場合、完全に一時停止せずに環道に入るチャンスが多いので、遅れが少なくなるのである。ただ、十字の交差点の主要道路の方の交通が支配的で、交差点の存在をほとんど気にする必要がないような場合、ラウンドアバウトを設置したために減速・加速を強いられ、遅れが増えることもある。 遅れを改善することができれば、このことは交差点周辺の環境の改善に寄与する。遅れが少ないというとは、不要な停止が減り、また加減速の頻度や程度が少なくなっているというとで、排出ガスや騒音が減少し、燃費が向上することを意味する。 ラウンドアバウトは信号やオールウェイストップ(全方向一時停止)の交差点よりも遅延時間が減少するケースが大半で、すべての進入車両が一時停止するわけではないため、それぞれの一時停止もオールウェイストップの順番待ちの停止も削減でき、他の車がないときは信号が変わるのを待つこともなく前へ進めるため、処理能力はさらに向上する。 交通量の多い道路と少ない道路との交差点では、交通量が多い側の道路を横断する車両がある場合にだけ停止するのに比べると、ラウンドアバウトでは常に速度を遅くする必要がある分、遅延時間が延びてしまうことになる。進入交通量が比較的均一の場合は、ラウンドアバウトは二回に一回の割で完全に停止することが求められるだけなので、遅延時間を低減できる。右折専用の信号の存在は、処理能力をさらに低下させる。 歩行者は信号を待つのではなく自動車の切れ間に安全に横断することができるため、信号機に比べてラウンドアバウトの方が待ち時間を減らすことができる。自動車の流入がピークに達し、自動車の十分な切れ間が見つからないような状態でも、出入りの自動車の速度自体が低下するため、小さな切れ間でも横断することが可能になる。 一時停止や信号からラウンドアバウトに置き換えられた交差点に関する調査から、車両の遅延は13〜89%減少し、停止した車両の割合は14〜56%減少したことが判っている。進入車両の速度が遅くなるにつれて遅延時間は増加する傾向がある。 ラウンドアバウトでは、一酸化炭素の排出を15〜45%、亜酸化窒素の排出を21〜45%、二酸化炭素の排出を23〜37%、炭化水素の排出を0〜42%それぞれ削減されることが判っている。燃料消費は23〜34%削減されると見積もられている。 ラウンドアバウトは、交通静穏化の手法の一つとしても利用される。もともと、ラウンドアバウトはそこに進入する車両の速度を抑制するように設計されているので、適切に配置することによって、その道路を通行する車両の速度をおさえ、交通の静穏化を確実に実現することができる。ドライバーはラウンドアバウトの存在を無視して、直進することができないからである。
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