近年のLED化について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 06:18 UTC 版)
近年では、自動車や二輪車などの市販車のテールランプおよびストップランプのLED照明化が進んでいる。 従来の白熱電球は、電球自体の体積と反射器の容積が必要で、どうしても外見上は四角形など発光面を単一的に広く取る形状にならざるを得なかった。だがLEDではごく小さな素子で大光量を発生させることができるため、小さな素子を複数個並べたり導光板と組み合わせたりすることでデザインの自由度が格段に向上した。 安全面の意味合いとしても注目されており、小糸製作所などLED化に注力する自動車用発光部品メーカーもある。白熱電球は通電されてから最大光量に達するまでに約0.2秒を要するため、ほぼ瞬時に最大光量に達するLEDのストップランプであれば、その分早く自車の制動を後続車のドライバーに認知させることができる。時間的にはわずかな差であるが、制動開始が0.2秒早ければ、時速100kmで走行中の場合では5m以上手前で停止できることになる。 実用的に優れたLEDだが、ファッション的な要素を求める傾向もあり、さらにアフターマーケットでは、LED化されたリヤコンビネーションランプなど手軽に交換できる電球型LEDが相次いで発売されている。 他にも電気知識を持つ車両ユーザーや業者による自作品も多く、これらの自作品については、「ファッション重視」か、「車検対応で省エネ重視」かで大きく分かれているところがある。「ファッション重視」の場合は電子パーツを使用してマークの造型や点滅などのアクションをさせようとするもので、「車検対応で省エネ重視」の場合は白熱球より大幅に消費電力が減少することから電気系統の慢性的な電力不足を解消させようとするものであり、旧型車やオートバイのユーザーが行うことが多い。 しかし、それらの中には既定の光量を満たしていなかったり、逆に明るすぎて後続車を眩惑するなど保安基準を満たさず車検不適合のものもあるので注意が必要である。正規ディーラーではこれらのリスクを回避するため、純正部品ではないこれらパーツを装着した車の車検対応をを断ったり、純正品に戻すことを求める場合もある。 なお近年製造された車両には灯火類と各種制御装置が連携しているものがあり、LEDに交換すると消費電力の変化により制御装置が正常に動作せず不具合が発生するとして、一部メーカーでは注意を呼びかけている。 また白熱球時代と違い発光体単体での交換を前提とした規格化がなされていないため、正常に発光しなくなった場合はリアコンビネーションランプユニット全体など、ASSYごと交換を強いられる。これはすなわち修理費用の増大を招くだけにとどまらず、ASSYが絶版品となった場合はその車両の継続運用に支障をきたす事態に陥ってしまうことも意味する。
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