近代の終末もの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 16:24 UTC 版)
近代以降の破滅ものフィクションの先鞭をつけたのは、イギリスのゴシック小説作家にして『フランケンシュタイン』の著者のメアリー・シェリーであった。1826年に出版した『最後の人間』では、疫病で人類が死に絶えた世界に生きる最後の1人が描かれている。この小説は終末ものというSFのサブジャンル最初の小説で、最初のサイエンス・フィクションとも評されるが、当時は酷評を浴びて忘却され、1960年代になってから再評価された。 リチャード・ジェフリーズ(英語版)の1885年の小説『After London』が、しばしば「最初の終末後フィクション」と評される。この小説でのイングランドは未知の災厄に突然襲われて無人化しており、わずかな生存者が中世のような生活を送っている。第一章は、未来の歴史家が文明の死とその後を解説したという設定の文章であり、自然がイングランドを元に復活していく様子が描写される。農地は森に覆われて家畜は野生に帰り、道路や町には草が茂り、忌まわしいロンドンは湖や有毒の沼地と化している。第二章以降は、原始に戻った大地と社会を舞台にした単純な冒険となるが、破滅後のイングランドの説得力を持った描写には後のサイエンス・フィクションに共通するものがある。スティーブン・ヴィンセント・ベネー(英語版)の1937年の短編小説『バビロンの水のほとりに(英語版)』では、同様に謎の災厄で廃墟となったニューヨークを舞台に、若者が成人になるための冒険が描かれている。
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