近代の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 16:02 UTC 版)
ジョミニやクラウゼヴィッツに影響を受けた研究者たちは後に戦闘の研究を理論的に発展させるための研究成果を残してきた。アメリカではデニス・ハート・マハン(1802-1871)はジョミニの影響の下で戦闘にいて依拠するべき原則を提示し、ドイツではヘルムート・カール・ベルンハルト・フォン・モルトケは訓令戦術と包囲を重視した機動理論を提起した。一方のフランスではチャールズ・アルダン・ドゥ・ピッグによって戦闘における士気という心理的要素を解明して戦闘理論の研究に寄与した。海上戦闘の研究者であるアルフレッド・セイヤー・マハン(1840 - 1914)はジョミニや父親のデニス・ハート・マハンの影響の下で陸上戦闘の研究を海上戦闘に応用することに成果を挙げ、戦闘の一般理論が地理的環境の変化にも適応可能であることを示した。またモルトケの研究を受け継いだアルフレート・フォン・シュリーフェン(1833 - 1913)は戦闘における殲滅の原理を発展させて包囲殲滅の教義を確立し、その研究成果はシュリーフェンプランとして結実した。コルマール・フォン・デア・ゴルツはモルトケやシュリーフェンの影響の下でそれまでのドイツにおける戦闘の研究を総合し、フランスやイギリスに紹介する役割を果たした。フェルディナン・フォッシュはドゥ・ピッグの研究に影響を受けるとともにドイツの殲滅の原理を受容しており、特に士気などの精神的要素を戦闘の理論において位置づけた。航空戦闘に戦闘の理論を始めて応用したジュリオ・ドゥーエは陸上や海上とは異なる地理的、技術的条件の下で行われる戦闘が理論的にどのような作戦を可能とするかを明らかにした。またジョン・フレデリック・チャールズ・フラーは現代の戦闘の理論を研究するための科学的な方法論を準備し、戦いの原則を現代の戦闘の形態に応じて発展させた。フレデリック・ランチェスター(1868 - 1946)は戦闘の数学的モデル化に取組み、特に戦闘力と戦闘結果の因果的な関係を定式化した。
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