輸入販売禁止と在庫廃棄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 14:38 UTC 版)
任天堂などのゲーム会社54社は、不正競争防止法を根拠に提訴(マジコン事件)。 一般的にMODチップと呼ばれるコピープロテクション解除ICチップ等、ゲームにかけられているプロテクトを意図的に解除する装置や道具の販売は、1999年10月の不正競争防止法の改正により違法となっている。このためマジコン内部にゲーム機、あるいはゲームソフトのコピープロテクションを解除する機能「のみ」が備わっていると解釈される場合にはマジコンの売買は日本国内では違法となるため、本訴訟では、マジコンがゲームソフトのコピープロテクションを解除する機能「のみ」が備わったものであるかどうかが争点になった。また、マジコンが解除するというプロテクションの対象が著作権法や特許法などで守られる目的のものであるかどうかも大きな争点になった。 2009年2月27日、東京地方裁判所はマジコン販売業者に対して、マジコンの輸入販売禁止と在庫廃棄を命じる判決を言い渡した。判決は任天堂などのゲームソフトメーカーの主張を全面的に認めたもので、任天堂は「マジコンに対して、今後も継続して断固たる法的措置を講じる所存です」とのコメントをした。これで日本国内での発売禁止がほぼ確定となった。 判決文では争点となった「のみ」要件について、必要最小限の規制という観点から、別の目的で製造提供されている装置が偶然プロテクション回避の機能を有している場合は除外していると解釈したうえで、争点となった被告装置は「のみ」要件を満たし、パソコンのような汎用機器、およびプロテクションに反応しない機器は「のみ」要件を満たさないとした。 しかし不正競争防止法では、判決の根拠となった2条1項11号に対する刑事罰が規定されておらず、個別の民事差止請求・損害賠償請求によらなければならないため、上記訴訟の判決確定後も、マジコンは東京・秋葉原 (アキバ)や名古屋・大須、大阪・日本橋(でんでんタウン)などでの販売が止まない状態である。 ただ、文化庁の文化審議会では刑事罰規定の法改正案が審議(当初は2012年を目標に法改正を目指すと)され、2010年度中に著作権法を中心に不正競争防止法(通産省)関税法(財務省)等関連法制を改正することで、マジコン販売についてもアクセスコントロール回避に対する規制として刑事罰を導入する方針を固め、2011年12月1日に改正不正競争防止法が施行され、5年以下の懲役または500万円の罰金(又はこれを併科)の刑事罰が設けられることになった。同時期に改正された関税法により、マジコンは輸入禁制品に指定された。 今後、模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA) 締結によりアメリカと同じ基準のデジタルミレニアム著作権法 (DMCA) に相当する規制を導入する事になれば、著作権保護技術を保持するためのアクセスコントロール(技術的保護手段)の回避規制が利益衡量のためにより必要となる可能性がある。
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