議会の論評
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「コンスタンス・ケント」の記事における「議会の論評」の解説
このことについては英国議会の両院においても話題となった。 貴族院において、大法官ウェストベリー卿はウェストミース侯爵にこたえて次のように述べた: ..訴訟あるいは刑事上の手続きにおいて、イングランド国教会の聖職者は、正義を追求する目的で自分に対してなされた質問に返答する際、告解において自分が知ったことを暴露することになるという理由で、返答を辞退する特権を有していないことは疑う余地はありません。聖職者はそのような質問に答えなければなりませんし、イングランドの法は、返答を拒む特権を、信者に対応するローマ・カトリックの聖職者に拡張することもいたしません。 彼は、法廷侮辱罪での収監命令が実際にワグナーに対して発せられたようであるとも述べている。 ただしそれが事実であったとしても、執行はされなかった。 同時に、元大法官チェルムスフォード卿は、ワグナーが告白において知った事実を秘する特権を全く有していないという点で、法は明白であると述べた。 ウェストミース卿は、最近、事件が2件あったが、うち1件ではスコットランドの聖職者が証言することを拒んで投獄されたと言っている。この件に関してはウェストミース卿によれば、内務大臣ジョージ・グレイに聖職者の釈放が請願されたのに対して、内務大臣は、もしカトリックの聖職者側が自分たちの誤りについて自認せず、また自分の側でも同様の事件において今後同一の方針を下すことはないという確信がないままここで判決を差し戻すならば、彼(内務大臣)は、全ての宗派の聖職者が持つ特権の奪取を許可することになるであろうし、このことについていかなる宗派の聖職者も要求を出すことはできないだろう、と述べたという。 なお、これは1860年のR v Hay事件のことである。 貴族院におけるウェストベリー卿の発言は、エクセター大主教ヘンリー・フィルポッツからの抗議を招いた。フィルポッツは彼あてに、ワグナー師が主張している特権を強く支持する旨の手紙を書いた。 大主教は、この件に関してのカノン法は、これまで世俗的法廷からいかなる否定も反対もなく認められてきており、 聖公会祈祷書の病者への見舞いの儀式でも確認され、したがって礼拝様式統一法(Act of Uniformity)によって是認されてきたと主張した。フィルポッツは聖職者の告解守秘の特権の問題に関するパンフレットを著したエドワード・ロース・バデリーに支持されている。フィルポッツからの手紙に対してウェストベリー卿が返事を送り、それに対してフィルポッツが答えている内容を見るところ、ウェストベリー卿は、「カノン法1603年版の113条は、『聖職者は、単なる衝動にまかせて(ex mero motu)、自ら進んで、かつ法的義務のない状況で、告解で自分に伝えられたことを明らかにしてはならない』ということを単に意味しているにすぎない」という意見を表明している。ウェストベリー卿はまた、当時の公衆は(聖職者に)証言の開示を強制する法律が改変されることに耐える気分にはない、という意見を表わしたようである。
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