許諾と黙認
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 07:22 UTC 版)
著作権者の許諾(63条)があれば、許諾の範囲内で二次創作物を作成する限りにおいて著作権侵害となることはない。公式サイトなどで、頒布方法や性表現の有無など一定の条件において二次創作を認めるガイドラインの提示を行っている法人や個人の著作権者もおり、ガイドラインに従って権利者に認められた範囲内で利用する場合は侵害にはならない。個々に許諾申請を求める者もおり、許諾の条件として金銭を求める場合もある。クリエイターの収入に関する問題にも絡むことがあり、二次創作を広く認める立場であっても、何らかの利益の還元を必要とする意見がある。このように著作権については様々な立場や考えなどがある。 このような具体的な許諾を受けていなくても、著作権者が二次創作物を法的手段で規制しようとせず、黙認の姿勢を示すことがある。また、一部の出版社は公式ウェブサイトにおいて二次創作を含む著作物使用が著作権侵害にあたることを明記しつつ、Twitterなどにおいて健全なファン活動は規制しないと説明している。 また、古典作品などをはじめとしたパブリックドメインに属する著作物など著作権フリーの物は、権利を保持する者がいないため許諾を求めることもできず、許諾を必要としない。ただし著作者人格権については著作者が存しなくなった後においても侵害となるべき行為をしてはならない(60条)。 2013年、二次創作同人誌作成や同人誌即売会での無断配布を有償・無償問わず原作者が許可する意思を示すための同人マークという新たなライセンスがコモンズスフィアによって公開された。これは環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP) 交渉で著作権侵害が非親告罪化される可能性が言及され、実際に非親告罪化された場合に第三者による告発などで権利者が黙認したいケースでも訴訟に発展するなどの事態を防ぐことを目的に漫画家の赤松健が発案したライセンスであり、赤松自身の漫画作品で『週刊少年マガジン』2013年39号(同年8月28日発売)より連載開始のUQ HOLDER!で採用されている。 2018年には「TPP関連法案国会審議」に基づく同法の改正案が可決成立し、非親告罪化規定が、TPP11協定発効日である2018年(平成30年)12月30日から施行される事が決定した。弁理士氏の大沼加寿子は、二次創作物をコミックマーケット等で販売する行為は「対価を得る目的」「原作のまま」「権利者の利益が不当に害される」という要件を満たさない場合が多いことから、対象にならない可能性が高いとしている。二次創作物をブログに投稿する行為も「原作のまま」ではないため、非親告罪の対象にならないとしている。 例外だが、CardWirthなど一部のコンピューターゲームは二次創作物が存在しなければ作品そのものが正常に機能する事が無い。
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