設計と操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 08:26 UTC 版)
Colossus は先端技術であった真空管、サイラトロン(熱陰極格子制御放電管)、光電子増倍管(紙テープ読み取りに使用)を使っている。そしてプログラムされた論理関数を各文字に適用して、どれだけ "真" が返ってくるかをカウントする。真空管は故障しやすかったが、ほとんどの故障は電源のON/OFF時に起きるので、Colossus マシンは一度電源を入れたら故障で働かなくなるまで電源を入れっぱなしにして使われた。 Colossus はプログラム可能な電子デジタルマシンだが、そのプログラム機能は次のような点で限定されたものだった。 プログラムは内蔵式ではない。新たなタスクを設定するには、オペレータがプラグ盤とスイッチ群を操作して配線を変更する。 汎用性はなく、計数とブール演算という暗号解読に特化した設計である。 したがって、ある程度の柔軟性はあるが、自由にプログラム可能とは言えず、ある種の専用計算機である、ということになる。 「世界初のコンピュータはどれか」という議論(本質は「コンピュータ」の定義次第であるが)で本機とよく比較される機械について以下に述べる。コンラート・ツーゼの Zuse Z3 は世界初のプログラム制御式の完全機能するコンピュータであり、ベル研究所でジョージ・スティビッツらによって1930年代後半に開発されたマシンと同様、電気機械式リレーを使用していた。アタナソフ&ベリー・コンピュータは電子式で2進数を使用していたが、プログラム可能ではなかった。ヴァネヴァー・ブッシュらが1930年代以前から開発していたアナログコンピュータは半プログラム可能であった。チャールズ・バベッジの解析機関はこれら全てに先行していたし(19世紀中盤)、デジタル式でプログラム可能だったが、部分的にしか制作されず、当時は機能しなかった(ただし、階差機関のレプリカは1991年に製作され動作した)。Colossus は、「デジタル」式で「プログラム可能」で「電子」式であるという組合せでは世界初であるが、汎用性は低かった。より高い汎用性は1946年に開発されたENIACで実現された。いずれにしろプログラム内蔵方式ではなく、同方式により実現されるような柔軟なプログラム可能性もない。
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