設立への経緯
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1996年、自然保護議員連盟の幹事長を務めた岩垂寿喜男が、当時の環境庁長官の就任挨拶で、やんばるの国立公園化構想を発表した。同年4月15日、沖縄に関する特別行動委員会 (SACO) の中間報告に、北部訓練場の半分以上の敷地面積が返還されることが付け加えられた。これを受けて同日、岩垂は中間報告で返還後の北部訓練場の土地利用について、「国立公園を選択肢の一つとして検討したい」と述べ、やんばるの自然環境について詳しく調査する考えを示した。 2007年3月9日、環境省は36年ぶりに国立・国定公園の選定要領の改正に伴い、やんばると奄美群島に群生する照葉樹林地帯を国立公園として指定する方針を決定した。1971年の選定要領は自然公園法に基づき、「優れた自然の風景地」を評価するため改められたが、景観の他に生物多様性などの観点を取り入れ、「照葉樹林」、「里地里山」、「海域」といった評価の対象が要領に盛り込まれた。2010年10月に公表された国立・国定公園総点検事業において、やんばるは陸域から海域にかけて、多様で連続性をもつ生態系を有し、「日本国内で傑出した地域」と評価された。 2010年に公表された生物多様性国家戦略において、生態系のつながりを考慮した自然公園の指定・拡大を図り、またエコツアーの増加による対策として自然環境を保護する目的で、環境省は国立・国定公園の指定状況の見直しを行い、新たな公園の創設と区域拡張すべき既存公園を選定した。2010年10月4日、同省により国立公園の新規指定候補地5か所のうち、やんばる地域が選出された。その理由として、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの固有種と、その他の絶滅の恐れがある動植物が集中的に分布していることが挙げられる。 2016年2月1日発行の琉球新報の記事にて、国頭村村長の宮城久和は、やんばるの国立公園の指定を目指し、地権者と協議を進めていると述べた。沖縄県は2015年6月に環境省から照会を受けて、同年9月にはやんばるの国立公園化に向けた協議で意見調整が行われ、2016年2月26日に国立公園化に同意した。その翌日の2月27日に、環境省はやんばるに「やんばる国立公園(当時は仮称)」を設立する方針を決定した。国立公園の指定、さらに世界自然遺産「奄美・琉球」の登録に向けて、土地開発や農業・林業に対する規制について、合意が進んだ。2016年6月20日、中央環境審議会からの答申を受けて、環境省は「やんばる国立公園」の指定を決定した。 2016年9月9日、山本公一環境大臣は同年9月15日に、沖縄本島北部地域を「やんばる国立公園」として指定すると、閣議後の会見で発表した。指定日は地元自治体の要望により、ヤンバルテナガコガネが発見された1983年9月15日にちなんで決定された。また環境省は、指定日の9月15日に官報において告示すると発表した。そして9月15日に、「やんばる国立公園」は官報に告示され、正式に指定された。 年表 1996年4月15日 - 当時の環境庁長官は、返還される北部訓練場の跡地利用の候補として国立公園化に言及。 2007年3月9日 - 国立・国定公園の選定要領を改正し、やんばるを国立公園として指定する方針を決定。 2010年10月4日 - 国立公園の新規指定候補の一つとして、やんばる地域を選定。 2016年2月27日 - やんばるに「やんばる国立公園(当時は仮称)」を設立する方針を決定。 2016年6月20日 - 中央環境審議会の答申を受け、「やんばる国立公園」の指定を決定。 2016年9月15日 - 「やんばる国立公園」の指定。
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