言語の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/06 21:39 UTC 版)
ニコラ・トゥルナドル (2008) は、チベット語の状況を以下のように記述している。 チベット語地域全体にわたって20年間行った私自身のフィールドワークと、現存の文献から判断して、古代チベット語から派生した220種類の「チベット語方言」が存在し、中国・インド・ブータン・ネパール・パキスタンの5か国に拡散していると見積られる。これらの方言は25種類の方言群、すなわち相互理解不可能なグループに分類される。「方言群」という概念は言語という概念と同じものだが、いかなる標準化も伴わないものを指す。したがって、標準化の概念を脇に置くならば、古代チベット語から派生した25の言語があると言った方がもっと適当だろう。これは単に用語の問題だけではなく、言語の違いの幅について完全に異なる感覚を与えるものである。25の言語があると言えば、19の方言群からなるロマンス語派にも比肩する語派をわれわれが扱っていることが明かになるだろう。。 この25の言語の内訳は、12の大方言群: 中央チベット語(ウー・ツァン)、カム・チベット語(チャムド、四川省、青海省、雲南省)、アムド・チベット語(青海省、甘粛省、四川省)、チョネ語(甘粛省、四川省)、ラダック語(ジャンム・カシミール州)、バルティ語(パキスタン)、ブリグ語(ジャンム・カシミール州)、ラーハウル・スピティ語(ヒマーチャル・プラデーシュ州)、ゾンカ語(ブータン)、シッキム語、シェルパ語(ネパール、チベット)、キドン・カガテ語(ネパール、チベット) 12の数百人ないし数千人の話者によって話される小方言群または単一言語: ジレル(ネパール)、チョーチャガチャカ、ラカ、ブロッカ、ブロクパカ、(以上ブータン)、Groma(チベット)、ジョグ(四川省)、セルパ(四川省)、カロン(四川省)、トンワン(雲南省)、ジツァデグ(四川省)、ドゥクチュ(甘粛省) 以上に加えて、白馬語(英語版)がある。この言語はチャン語の基層を持っているようで、アムド・カム・ジョグ(チベット文字:ཞོ་ངུ་、熱務)チベット語からの借用語の複数の階層を持っているが、既存のどのチベット語の言語群にも対応しない。このような、より異なった方言が北部・東部のチャン語(英語版)およびギャロン語地域の近辺で話されており、カロン(卡龍)チベット語などは言語交替の結果かもしれない。 中国で放送に使われるチベット語には標準チベット語(ラサで話されるウー方言にもとづき、ウー・ツァン地方でリンガ・フランカとして使われる)、カム・チベット語、アムド・チベット語がある。
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