言語の系統類の個別言語学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 01:10 UTC 版)
「個別言語学」の記事における「言語の系統類の個別言語学」の解説
言語学は言語を普遍的な位相から研究する学問である。他方、個別言語の比較研究は、19世紀において、「インド・ヨーロッパ語族」の発見と確認を導いた。その後、比較言語学を通じて、世界の多様な言語において類似した「系統関係」が認められ、「言語の系統分類」が樹てられた。 インド・ヨーロッパ語族において、もっとも明確に系統分類が確立されているこの言語系統論は、世界の言語を、大きな系統類としての「語族」に分類し、語族に属する個別言語の下位の類として、「語派」などの分類を立てた。 とはいえ、語族や語派もまた、言語一般と較べるとき、どのような大きな語族であっても、それは個別言語の集合体となり、語族が語族であるのは、まさに、語族に属する個別言語の構造の共通性・固有性にあるとも言える。特定の語族(語派・諸語)のなかで確認された音韻変化の法則(例えば、印欧語の「グリムの法則」、アルタイ諸語やフィン・ウゴル諸語の「母音調和」)は、必ずしも、言語に普遍的な法則ではないのである。 このことから、語族や語派、そして諸語についての「個別言語学」がまた成立すると言える。語族の場合は、「個別語族学」となり、語派の場合は、「個別語派学」ともなる。また実際に、このような個別言語学は、インド・ヨーロッパ語族についてなら、「インド・ヨーロッパ語学」が、個別語族学に相当し、語派としてのロマンス語の研究である「ロマンス語学」が、個別語派学に相当する。ドラヴィダ語族に関する個別言語学的研究が、言語学一般とは別に、ドラヴィダ語学として成立している。
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