複式簿記について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 03:44 UTC 版)
複式簿記については、第1部第9編論説11「計算および記録について」で解説された。197フォリオ(葉)の裏ページから210フォリオの表まで、合計14フォリオ・26ページで36章に分かれていた。内容にはパッチワークのように見える部分があるため、商業学校で使われていた商業書や商人たちから得た知識を組み合わせて書いた可能性もある。36章の構成は以下のようになっている。 body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}第1章:緒論 商人にとって必要な事項 第2章:財産目録 第3章:財産目録の模範例 第4章:有益な訓戒と助言 第5章:記録整理、3種類の主要簿 第6章:日記帳 第7章:商業帳簿の認証方法 第8章:日記帳の記入方法 第9章:9通りの商品の仕入方法 第10章:仕訳帳 第11章:借方と貸方 第12章:仕訳帳における借方と貸方 第13章:元帳 第14章:仕訳帳から元帳への転記方法 第15章:現金勘定と資本勘定の記入方法 第16章:商品勘定の元帳への記入方法 第17章:官庁との勘定記録方法 第18章:ヴェネツィア税関との取引 第19章:為替手形による支払の記帳方法 第20章:交換と組合について 第21章:組合取引の処理法 第22章:経常費、営業費、給与等諸費用の記帳方法 第23章:店舗の勘定のつけ方 第24章:仕訳帳、元帳における振替銀行の勘定と為替手形 第25章:収入と支出に関する勘定 第26章:旅行に関する記帳方法 第27章:利益と損失の勘定について 第28章:元帳勘定の繰越方法 第29章:毎年元帳を締切らないままに元帳の年度を変更する方法 第30章:債務者のための計算書の作成方法 第31章:誤謬記入の訂正 第32章:元帳の締切 第33章:帳簿の締切中に生じる取引の記帳方法 第34章:旧元帳勘定の締切および借方 第35章:手紙、証券等の保管方法 第36章:商業帳簿の記入に関する規則と方法 信仰との関係 修道士でもあるパチョーリは会計を行う几帳面で勤勉な者を神は認めると書き、帳簿をつけることは善行であるとした。引用された人物として、ウェルギリウス、パウロ、マタイ、ダンテらがいる。健全な信仰心をもち、専門的な教育を受ければ、秩序のある会計をできるとパチョーリは考えた。 異なる簿記の統合 複式簿記は、イタリアの都市国家で13世紀末期から14世紀初頭に形成されたという説が有力である。都市によって簿記にも違いがあり、ヴェネツィアは口別損益計算、フィレンツェは期間損益計算を使っていた。『スムマ』の損益計算は一般的にはヴェネツィア式簿記と解釈されており、パチョーリ自身もヴェネツィアが採用している方式だと書いている。しかし、継続的な帳簿記録をもとに期間で区切る総括損益計算もみられるため、ヴェネツィア式簿記とフィレンツェ式簿記の両方の特徴を持っている。 試算表 当時はまだ完成されていなかった試算表の原型が、第14章と第36章に書かれている。元帳のすべての勘定を1枚の紙に転記し、借方金額の総計と貸方金額の総計を確認する。等しければ元帳が正しく、等しくなければ元帳に誤りがあると論じており、合計試算表と同様の実務が行われていたことを示している。
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