行政・公共図書館の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/03 09:34 UTC 版)
日本図書館協会は本書について、購入や閲覧・貸出といった取り扱いの制限を行うべき書籍ではないとの判断を示した(後述)が、図書館によって異なった判断がされている。 兵庫県 6月17日、兵庫県立図書館は「地元の図書館として、遺族の感情や人権に配慮せざるを得ない」などとして、この書籍の貸出・複写を制限する方針を決めた。6月22日、兵庫県知事の井戸敏三は、定例会見にて兵庫県立図書館が「遺族の感情や人権に配慮する」などの理由から、学術研究を目的とした館内の閲覧のみとし貸し出しを行わない制限を決めたことについて「慎重を期したやむを得ない措置」との見解を示したが、「被害者の遺族が抗議していることは知っているが行政機関が主体的にタッチする話ではなく、良識ある読者が個々に判断すべきこと」とした。 神戸市 神戸市立中央図書館は過去の対応に参照し、「今回も事件があった市の図書館として判断したい」としており、この書籍の購入や閲覧に関する方針を協議していたが、6月23日に神戸市長の久元喜造は神戸市立図書館11館で手記を購入しないことを発表した。 明石市 神戸市の隣市である、明石市市長の泉房穂は、6月19日、手記の出版を「遺族を傷つける許されない行為だ」と指摘し、同市の犯罪被害者等支援条例に基づき、市内の書店や住民に手記の販売・購入について「配慮をお願いする」と述べ、明石市立図書館では手記を購入しない方針を明らかにした。これに対し、憲法学が専門の神戸学院大学教授の上脇博之は、被害者遺族に知らせずに出版した経緯には問題点があるが、「出版後の検閲との誤解を与えないよう、市は要請に強制力がないことを強調すべきだ」と強く非難した。 滋賀県 滋賀県立図書館では、6月18日の購入から制限なしに貸出を行っていたが、6月24日から20歳未満の利用者への貸出を制限している。本書について、滋賀県教育委員長は利用者からのリクエストがあったことを挙げ、「図書館で収集、保存すべき書籍」との判断を示した。 大阪府 大阪府立中央図書館は、資料提供が図書館の役割であると主張し、年齢制限なしに貸し出している。 大阪市 9月8日、大阪市教育委員会は、大阪市立図書館での本書の扱いについて、青少年への影響を考慮し、閉架書庫に置いたうえで、18歳未満の利用者への閲覧・貸出を制限することに決めたと明らかにした。 徳島県 徳島県立図書館では、館内の「資料収集委員会」で検討した結果、「選定基準」等に反する事項がないことから購入した。 徳島市 徳島市立図書館では、徳島市教育委員会社会教育課と協議の上、所蔵しないことに決定した。 愛媛県 愛媛県立図書館では、図書の選定基準に基づき手記を購入しないと明らかにした。
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