行使に当たるとされる事例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 02:47 UTC 版)
「集団的自衛権」の記事における「行使に当たるとされる事例」の解説
過去に集団的自衛権の行使が国連憲章第51条に従って安保理に報告された主な事例に以下のものがあるが、これらが外部からの武力攻撃の発生の有無や、被攻撃国による援助要請の正当性といった集団的自衛権の要件を満たしていたのか、内戦に第三国が介入したものではなかったかという点については議論があり、その濫用が疑われる事例が少なくない。 ハンガリー動乱 - 1956年10月にハンガリーで発生した大規模反政府デモに対し、ソ連が「ハンガリー政府の要請に基づき、(集団的自衛権に基づく加盟国間の相互軍事援助を主な目的とする)ワルシャワ条約に従って」民衆の蜂起を鎮圧した事例。ただし要請が正当な政府からなされたものかについては疑問視されている。 チェコスロバキア動乱 - 1968年にチェコスロバキアで起こった自由化運動の影響拡大を恐れたソ連および東欧諸国によるワルシャワ条約機構軍が、8月に改革運動を鎮圧した事例。ソ連は軍事介入はチェコスロバキア政府の要請によるものと安保理で説明したが、チェコスロバキア政府はこれを否定した。 ベトナム戦争 - 1964年のトンキン湾事件を契機に、米国議会は国連憲章及び東南アジア集団防衛条約に基づく義務に従い、兵力の使用を含む必要なあらゆる手段をとる旨決議し (Gulf of Tonkin Resolution) 、ベトナムへの北爆と地上部隊派遣を開始してベトナム戦争へ本格的に介入した。だがベトナム戦争が内戦ではなく国際戦争であったのか、更にはトンキン湾事件がアメリカの自演であったことがのちに判明するなど、本件が集団的自衛権の行使要件を満たしていたかについては議論がある。 コントラ戦争 - 1981年、米国がニカラグアの反政府勢力コントラを支援し、その根拠をニカラグアによるエルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカへの武力攻撃に対する集団的自衛権の行使であると主張した事例、ただし、国際司法裁判所はアメリカの集団的自衛権行使の主張を認めなかった。(詳細「ニカラグア事件」)。 アフガニスタン紛争 - 2001年の9・11テロを受けてのタリバン政権下のアフガニスタンに対する米軍の攻撃とそれに伴う北大西洋条約機構 (NATO) 加盟のヨーロッパ諸国のとった軍事行動。安保理決議第1368号および1371号の前文において個別的又は集団的自衛の固有の権利が確認(recognize)された。
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