行使の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/10/20 09:04 UTC 版)
外交的保護権は、他国によって自国民が損害を受けた国家に認められる権利であるが、この「自国民」という点について特別な要件があり、これに反すると行使することができない。 国籍継続の原則 外交的保護権を行使するには、被害者である私人が損害を受けた時から外交的保護権を追及するまでの間、その私人は継続してひとつの国の国籍を有さなければならない、ということである。 この要件は、損害を受けた私人が回復をより確実にするために、損害を受けてから大国に国籍を変更することを防止するためにある。 真正結合の原則 また、国籍継続の原則には付随的な要件がある。それは、国籍国と国民の間には真正な結合がなければいけない、ということである。 国籍は国籍国が自由に決める基準で与えられるが、しかしその基準は他国に対し一定の対抗力がなければならず、便宜的に与えられた国籍の場合には外交的保護権の行使は認められない。国際司法裁判所が「ノッテボーム事件」で示した判決において、二重国籍者に対する理論を用いてはじめて認めた。 国内救済完了の原則 また、外交的保護権を行使するには、被害を受けた私人が、被害を与えた国の国内における司法的解決を尽くさなければならない、という要件がある。すなわち、A国の国民XがB国によって違法な損害を受けた場合には、まずXはB国内で国家賠償請求を行うなどB国司法に基づく救済を試みなければならず、この試みによる救済の可能性が尽きてはじめてA国が外交的保護権を行使しうる。例えば、損害を与えたのが日本であれば、最高裁判所まで争って棄却される、などが必要である。この点についてはインターハンデル事件判決他多数の裁判例がある。
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