英語版Wikipedia「Analytic Hierarchy Process」の翻訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 14:07 UTC 版)
「階層分析法」の記事における「英語版Wikipedia「Analytic Hierarchy Process」の翻訳」の解説
この記事は英語版ウィキペディアにある同じ項目の記事の2010-08-28の版から翻訳された記事である。 概要 AHP(階層分析法)は複雑な状況での意思決定を行うための構造化法の1つである。この手法は、“正しい”決定を下すために使われるというよりも、決定者自身にとっての必然性や理解を最もよく反映させた決定を導き出すための手法である。 AHPは1970年代にトーマス・L・サーティ(現在、ピッツバーグ大学名誉教授)によって創始された意思決定法で、数学と心理学がベースになっている。既に広範囲にわたり研究され、現在はかなり洗練されたバージョンになっている。 AHPは包括的かつ合理的な意思決定のためのいくつもの枠組みを提供する。これから検討する問題を構造化する枠組み、問題に含まれる要素を数量化する枠組み、それら要素の評価を互いに関連づける枠組み、そして代替案として設定される解決案を問題全体の中で評価する枠組みである。AHPは世界中で、政治、ビジネス、産業、医療、教育など様々な分野の意思決定場面で利用されている。またこの手法を手軽に使うためのコンピュータ・ソフトウェアが、いくつかの企業から販売されている(訳者注:無償で利用できるものもある)。 AHPでは、まず自分達の決定問題をより具体的に下位の問題の階層へと分割する。下位に位置付けられた問題は、それぞれ独立に分析されることになる。階層を構成する要素は意思決定問題のどのような側面と関連していてもよい。例えば、有形か無形か、慎重に測定されたものか大ざっぱなものか、十分理解されたものかそうでないものかなどに関係なく、検討している意思決定に適用されうるものであればどんなものでも扱うことができる。 いったん階層が構築されれば、後は決定者が要素を2つずつ取り上げながら比較していくことで、システマティックに各要素を評価していくことになる。この比較では、決定者は要素について具体的なデータを使うこともできるが、要素間の相対的な意味や重要性について判断していくことができる。このように、客観的な情報だけでなく、主観的な人間の判断をも評価に利用するところがAHP の特徴といえる。 ところでAHPは、上記のようにして得られた評価を、問題全体の中で比較できるよう数量化する。実際、階層内の各要素に対して重要度あるいは優先度が具体的な数値として得られる。この際、同一基準では計れないような要素についても、合理的かつ一貫した方法を利用して比較していくことができる。これを可能にしたところも、AHPが他の意思決定法と差別化されるところである。 最後に、各代替案に対する優先度が具体的な数値として計算される。ここで得られる数値が、始めに設定した問題を解決するための、代替案の代替案間での相対的な評価となる。この評価は問題の性質に合わせて解釈されることになる。 冒頭の図は、AHPの最終段階で得られる階層図の簡単な例である。決定者が決めた数値を基に計算された重要度が階層の各要素に記入されている。図からこの例はリーダーを選ぶという問題であり、そのために4つの評価基準が用意されたことが分かる。そしてAHPによる分析結果として、重要度が0.450のディックが最も望ましい候補者であると評価されたことが読み取れる。またそれだけでなく、ハリーの重要度が0.225であることから、ディックはハリーと比べリーダーとして2倍強く望まれていること、トムは彼らの中間的な存在であることも分かる。さらに今回の分析において評価基準として経験が最も重視され、続いて年齢、カリスマ性、学歴であること、またそれらの各重要度は0.400、0.300、0.200、0.100であることがわかる。
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