自動車産業との戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 13:30 UTC 版)
「ラルフ・ネーダー」の記事における「自動車産業との戦争」の解説
1965年、彼はUnsafe at Any Speed:The Designed-In Dangers of the American Automobile(どんなスピードでも自動車は危険―アメリカの自動車に仕組まれた危険)において、アメリカの乗用車の欠陥を指摘し全米に衝撃を与えた。アメリカの自動車産業がシートベルトなど安全装置の導入に抵抗し、安全性向上のための投資を渋っていると述べ、特にゼネラルモーターズの空冷リアエンジン車「シボレー・コルヴェア」に欠陥が多いと告発した(ただし、その最大の要因であるサスペンションの設計は1964年製からは変更されていた)。 GMはこの本を徹底的に無視する一方、彼を貶める為に探偵をも雇って粗探しをしたが失敗し、逆にプライバシーの侵害であるとしてネーダーに訴えられて賠償金を支払うことになった。また1966年には上院の自動車安全問題分科会への出席を余儀なくされ、ネーダーに一連の妨害を謝罪することとなり、その後コルヴェアは生産中止に追い込まれた。 また彼は、今も使われているアメリカの交通安全のための政策標語「三つのE」(技術、執行、教育の徹底 "Engineering, Enforcement, Education")は自動車の真の問題、たとえば最大積載の際の重さに耐えられないようなタイヤを売る会社があるような事実から、目をそらすために作られたと告発している。 今でもこの本の告発のいくらかには今日的意義がある。ネーダーが自動車会社による政治的干渉だと感じた、新しい安全装置への導入反対の動きに対する非難である。ある者はこれを、今日のエアバッグ標準装備化をめぐる議論や、EUで行われている、前方歩行者との衝突の際に自動車がどれだけ歩行者にあたえる衝撃を抑えることができるか検証するための衝突テストを、アメリカへの導入を自動車業界がなんとか遅らせようとしている問題と同様と見ている。
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