自作自演による初録音とは? わかりやすく解説

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自作自演による初録音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 23:36 UTC 版)

戦争レクイエム」の記事における「自作自演による初録音」の解説

1962年1月、まだ初演前の『戦争レクイエムの手稿をブリテンから見せられデッカ・レコードプロデューサー、ジョン・カルショーは作品素晴らしさ気づき、ただちにレコード化思い立ったデッカ重役レコーディングにかかる経費抑えるため初演ライブ録音することを提案したが、カルショーは大聖堂での演奏響きすぎることなどを理由初演録音することには反対し、彼の主張どおり、日をあらためセッション録音が行われることとなった。ただし、ブリテン体調良くなかったこともあって録音計画延期重ね初演翌年にずれこんだ。 1963年1月3日5日7日8日10日6日間わたってロンドンのキングズウェイ・ホール(英語版)でデッカによりレコーディングが行われた。オーケストラバーミンガム市交響楽団からロンドン交響楽団変わり指揮ブリテン1人行ったテノールバリトン独唱者は初演引き続きピアーズフィッシャー=ディースカウ務め今回はヴィシネフスカヤの参加が可能となったため、ようやくブリテン構想した理想的な独唱者が一堂に会することとなった。なお、当時フィッシャー=ディースカウデッカ契約関係になかったため出演交渉には困難が予想されたが、カルショーに頼まれブリテンフィッシャー=ディースカウ電話をかけ、フィッシャー=ディースカウ当時契約会社交渉しデッカ録音自分参加することを認めさせた。 カルショーはブリテン意図した音楽遠近感を出すため、混声合唱ソプラノ独唱オーケストラ後方バルコニー配置してマイクを置き、男性独唱室内オーケストラ指揮者後方に、児童合唱バルコニー角にマイクをつけずに配置するなど、セッティング重視してレコーディング行った。ただし、この独特なセッティング思わぬトラブル招いた初め参加したヴィシネフスカヤが、ソリストのうち自分だけ立ち位置違っていることを差別だと誤解して激しく取り乱し初日録音はヴィシネフスカヤ抜きで行わざるを得なかったのである。なお、その後ヴィシネフスカヤの誤解解け2日目からは何事もなかったようにレコーディング参加した完成した自作自演レコードは、発売から1年20万枚という、クラシック音楽としては異例売り上げ記録し第6回グラミー賞において「クラシカル・アルバム・オブ・ザ・イヤー」、「最優秀合唱オペラを除く)パフォーマンス賞」、「最優秀クラシック・コンテンポラリー・作曲賞」の3賞に輝き日本においても音楽之友社第1回レコード・アカデミー大賞受賞している。 なお、レコーディングの際、カルショーはブリテン無断リハーサル様子隠し録りしていた。16時間に及ぶテープから50分に編集して作られ特製レコードは、同年11月ブリテン50歳の誕生日祝って贈呈されたがブリテンはこのサプライズを喜ばず、特製レコードその後封印されてしまった。この音源1999年再発売された自作自演CDに付けられ、ブリテン自作リハーサルする様子一般に知られるようになった。そこでは、ユーモア交えながらも、「ヒステリー起こすように」「もっと背筋が寒くなるように」など、言葉巧み自作イメージ伝えようとするブリテン仕事ぶり記録されている。

※この「自作自演による初録音」の解説は、「戦争レクイエム」の解説の一部です。
「自作自演による初録音」を含む「戦争レクイエム」の記事については、「戦争レクイエム」の概要を参照ください。

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