腫瘍溶解性ウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 15:25 UTC 版)
詳細は「腫瘍溶解性ウイルス」を参照 ラトビアで開発された腫瘍溶解性ウイルスの一つであるRIGVIR(英語版)は全ての臨床試験を終了した最初のウイルスであり、2004年にラトビア国内で登録された。2004年に承認されて、2008年からラトビアの薬局で入手可能と成った。RIGVIRを用いたウイルス療法はラトビア国内で成功裏に使用され、世界25か国以上で用いられている。2015年に公表された後ろ向き研究では臨床病期IBからIIC期の悪性黒色腫患者にRIGVIRが投与され、治療ガイドラインに沿って経過観察した場合に比べて死亡率が4.39倍から6.57倍減少した。2015年には、ラトビアの皮膚癌・悪性黒色腫治療ガイドラインに収載された。 2004年、テキサス大学で遺伝子操作された風邪ウイルスの一つであるアデノウイルスδ-24-RGDを用いた膠芽腫治療が研究された。その後の研究ではマウス10匹中9匹で腫瘍の崩壊が見られ、生存期間が延長した。医薬品候補としては2009年にヒトで臨床試験の実施が了承された。 2006年にヘブライ大学で、癌細胞を特異的に標的とすることを目的として、通常は鳥に感染するニューカッスル病ウイルス(NDV-HUJ)の変異株を単離する事に成功した。この変異株は多形性膠芽腫を有する患者に使用され、初めて有望な結果を達成した。 ワクシニアウイルスは天然痘撲滅で知られているが、GL-ONC1およびJX-594(英語版)が腫瘍溶解性ウイルスとしても開発されている。有望な研究結果が出ており、ヒト患者での臨床試験の実施が期待されている。 2013年時点で開発中のウイルス療法には、タリモジェン ラヘルパレプベク(英語版)がある。これは遺伝子操作した単純ヘルペスウイルスで、GM-CSFを生産する。2013年の第III相臨床試験の結果、評価項目(奏効率)は統計学的に非常に有意に達成された。これは西欧で初めての腫瘍溶解性ウイルスの第III相臨床試験である。 テロメライシンは日本で最初の制限増殖型腫瘍溶解ウイルスとされるが、単独での効果は確立されていないため、腫瘍を選択的に融解する可能性が高いとして、2013年以降に頭頚部、胸部悪性腫瘍に対して放射線療法と併用で「遺伝子治療臨床実践研究」の一環として臨床試験が計画されている。
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