脱出術のスタイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 13:57 UTC 版)
ヒドゥン 晩年のハリー・フーディニが得意としたスタイルで、実際の作業を見せないようにスクリーンの裏やキャビネットの中などで脱出パフォーマンスを行うもの。20世紀の終わりまでは主流であり、現代でも多くのマジシャンが採用している。欠点といえば、マジシャンは何の苦労もせず隠れているアシスタントが拘束を解いてしまったのだと観客に誤解を与えることである。 フルビュー 1970年代にノーマン・ビゲロウが流行させたスタイルである。彼は自分のパフォーマンスを純粋なテクニックと我慢の術として演出したので、観客は最初から最後まですべてを目の当たりにすることができた。彼の名を不朽にした演目である「死の扉」は多くのマジシャンに影響を与え、様々なパフォーマンスに取り入れられた。 エスケープ・オア・ダイ フーディニが始めたパフォーマンスであり、脱出術を手がけるプロであれば一流マジシャンの基準ともなる。脱出に失敗すれば命を落とす危険のあるこのスタイルには、大きく3つの種類がある。デス・バイ・ドローニング 水中脱出の演目で、これもフーディニが先駆者である。 デス・バイ・サフォケーション 棺桶のような、空気の入らない場所に密閉される演目である。この場合、水は使われない。 デス・バイ・フォーリング これもフーディニが元祖の演目で、拘束着を身に着け、高いところに吊るされた状態から脱出するものである。フーディニの場合は拘束着のままビルからクレーンで逆さまに吊るされて、間違いなく落ちたら死ぬところまで持ち上げられた。イギリスのマジシャン、アラン・アラン(英語版)はそれをさらに過激にし、数百フィートの燃えさかるロープで空中につるされた。このタイプの脱出術は失敗することもあり、その場合、演者は大怪我をするか命を落とす。 デス・バイ・エレクトロキューション 世界最年少のプロ脱出術師ことマーク・ネルソンのパフォーマンスが有名なエスケープ・オア・ダイの変化形で、60秒以内に脱出しないと、演者を台に固定している鎖に流れる電気の充電が完了してしまうというものである。 オカルト・エスカポロジー 比較的新しいスタイルで、神秘的な雰囲気と脱出術を組み合わせたものである。そのため脱出は何らかの儀式の一部として演出される。言い換えると、このスタイルは横断的なテーマを持ち、どちらの分野の技術も必要だということである。オカルティストであり作家のS・ロブが開拓したジャンルで、彼が書いたオカルト・エスカポロジーに関する3冊の本は、ハリウッドのマジック・キャッスルにも収蔵されている。 2012年、カナダのマジシャンであるルーカス・ウィルソンは、拘束具をつけて吊るされた状態から脱出する史上最速記録を打ち立てた。彼は足首から1メートルの高さで逆さに吊るされ、そこから8.4秒で脱出に成功した。
※この「脱出術のスタイル」の解説は、「脱出術」の解説の一部です。
「脱出術のスタイル」を含む「脱出術」の記事については、「脱出術」の概要を参照ください。
- 脱出術のスタイルのページへのリンク