脱出装置の不備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 06:44 UTC 版)
「チャレンジャー号爆発事故」の記事における「脱出装置の不備」の解説
シャトルが動力飛行を行っている間は、乗員の脱出は不可能だった。シャトルの開発中に乗員の脱出装置について何度か検討されたが、NASAの結論は、シャトルには高い信頼性が期待できるので脱出装置は必要ないというものであった。試験飛行とみなされていた最初の4回の飛行では、SR-71に使用されていたものを改良した射出座席と完全与圧服が使用されたが、それ以降の「実用飛行」では取り除かれた。(コロンビアの空中分解事故の後、同事故の調査委員会(CAIB)は、安全が確立された商用航空機に比べ限られた飛行回数しか持たないスペース・シャトルは本質的に『実験機』であり、決して実用機と見なすべきではなかったと宣告した)。さらに人数が増えた乗員用に脱出装置を取りつけることは「有益性に乏しく、技術的に複雑であり、費用や重量の超過またはスケジュールの遅延をもたらす」として望ましくないとされた。 チャレンジャーの喪失後、NASAは再度脱出装置についての検討を始め、射出座席・緊急脱出用ロケット・軌道船底部からの脱出などいくつかの案が提出された。しかしながらNASAが改めて出した結論は、脱出装置を装備するには設計の全面的な変更が必要で、乗員数をも制約することから実用的でないというものであった。オービタが滑空飛行している際に機体から脱出するための脱出装置は設計された。しかしながらこれはチャレンジャーのような状況では役に立たなかっただろう。
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