聴導犬の育成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 14:37 UTC 版)
聴導犬の育成団体は10団体、認定試験が行える厚生労働省指定の法人団体は「公益財団法人 日本補助犬協会」「社会福祉法人 横浜市リハビリテーションセンター」「社会福祉法人 日本介助犬福祉協会」「社会福祉法人 日本聴導犬協会」「社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団」「社会福祉法人 名古屋市総合リハビリテーションセンター」の6団体がある。 2008年現在、指定されたリハビリテーションセンター以外で、聴導犬の認定試験ができる補助犬育成団体は、内閣総理大臣が認定する公益財団法人「日本補助犬協会」と、厚生労働大臣が指定する社会福祉法人「日本聴導犬協会」だけである。 国際的に見ても、身体障害者補助犬の訓練と認定は、ユーザーとなる障害者のニーズと犬の習性を周知している補助犬育成団体内で行われることで、補助犬ユーザーへの責任の所在が明確になると言われている。その根拠として、日本での盲導犬認定は、盲導犬育成団体内で行われている。聴導犬育成団体内での認定においても「身体障害者補助犬法」により、訓練士のほかに、医師(特に耳鼻科医)、言語聴覚士などの専門家の連動が義務付けられている。また、障害者相談員などの「当事者」認定委員を含めることで、「当事者」のニーズを把握した上での厳密な認定試験が行われている。脳梗塞などの中途失聴による言語回復が望まれる者以外、たとえば先天性聴覚障がい者とリハビリテーションセンターとの関係はもともと薄いと言われ、リハ医よりも、各地の耳鼻科医との連携が望まれている。 厚生労働大臣指定法人は、わずか6箇所しかなく、4つのリハビリテーションセンター(横浜、千葉、兵庫、名古屋)と、補助犬育成団体では2団体(長野(聴導犬と介助犬の認定)、山梨(介助犬のみ))が指定されているだけで、盲導犬育成団体のように補助犬育成団体が認定団体となることを望む補助犬ユーザーの声もある。 上記のリハビリテーションセンターでは4箇所が介助犬訓練所、3箇所が聴導犬訓練所として、厚生労働省に届出をしている。現実に施設内での合同訓練を行っているリハビリテーションセンターもあり、補助犬育成団体での認定と共に、客観的な認定を行うことが義務付けられている。 聴導犬の育成について、一例としては、聴導犬候補の子犬(主に捨てられた犬たちの適性を見て、保健所などの協力を得て選ばれる)をソーシャライザーと呼ばれる子犬育てのボランティア宅で、人間を仲間とし信頼できるように愛情をもって育て、毎月の講習会に参加しながら聴導犬として育てる仕組みがある。 他に、ユニークな試みとしては、公益財団法人日本補助犬協会が、引きこもりの若者に子犬を育ててもらうことによって聴導犬の育成と若者の自立支援を狙った「あすなろ学校」といった例がある。聴導犬の育成に拍車をかけるため、日本聴導犬協会では、日本で最大規模の聴導犬・介助犬訓練施設(650坪)を2008年8月末に竣工。その施設を活用して、2009年2月より「日本聴導犬・介助犬訓練士学院」(学院長・信州大学元学長 森本尚武)を開校し、後進の育成も図る。
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