編集局報『えんぴつ』で意識改革を訴え
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「朝日新聞珊瑚記事捏造事件」の記事における「編集局報『えんぴつ』で意識改革を訴え」の解説
『朝日新聞 日本型組織の崩壊』(文春新書)では、本件直後に出された朝日新聞社内誌、編集局報『えんぴつ』の臨時特集、読者投稿の一部を紹介している。 「朝日の記者自身、実は一般庶民との感情の大きな隔たりを持っているのではないでしょうか。『取材』という名目を笠に着て、記者は横暴になってはいないでしょうか」 「私がこの事件を知ってすぐ思い起こしたのは少し前に聞いた知人の話です。(中略)この知人は、当時朝日新聞の取材を受けたのです。大新聞の記者の態度はおよそ礼儀とは程遠いものだったようです。何よりも知人をマスコミ不信にさせたのは活字になった自分の言葉だったそうです。そこには知人の言葉はなく、まるで記者により前もって用意されていたシナリオが知人の立場を借りて描かれていたかのようだったそうです」 「日常、朝日を読んでいて、疑問や感想を持つことがある。これを支局に電話するとまず、『本社に言ってください』と言われる。(中略)朝日新聞(記者)は官僚的である。コッパで鼻をかんだような不愛想、機械的な応答。『朝日新聞に限ってそういうことはない』と返事をしたという記事を見たが、さもありなんと思う」 世間からの批判に驚愕した朝日幹部は、次号の編集局報で全ての記者に向けて以下のように意識改革を訴えた。 「朝日新聞が大筋においては相当良質のジャーナリズムを提供していたという誇り、影響力の大きさに対する自負、そういう元来プラスに働くべき要素が、かなり以前から悪い方向にも作用して、ある種のおごり、高ぶりというか、英語でいえばアロガンスが、前社長の表現を借りればサビのように編集現場にも広がっていた」 「どうか改革に力をあわせて下さい。今度それをやりおおせなければ、朝日新聞社というところは、尋常なかけあい方をしても官僚的に突っぱねたり、たらい回しにしたり、時には声高にねじ伏せたり、非を部分的に渋々としか認めないで姑息な話のつけ方をしたり……といったイメージが、世間の処々方々でくすぶり、なにかの事件をきっかけに、それがワッと出てくる。そういったことがこれからも繰り返されるに違いありません」 同書では、「この“予言”は四半世紀を経て、恐ろしいほどに的中してしまう」と、本件から25年を経て発覚した歴史的事件、朝日新聞の慰安婦報道問題と吉田調書の背景にある、朝日記者の日ごろからの「高慢さ」が、本件以後も変わって居ないと指摘した。
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