総合治水対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:03 UTC 版)
総合的な水害対策は日本において昭和30年代の高度経済成長期に始まる急速な都市化に伴う宅地開発で、行政指導により、水害抑制として防災調整池の設置や都市計画法による区域区分と治水事業との調整に始まっている。この間に家屋の連坦に伴って河川改修が困難な状況に加えて、当時の急激な開発により保水機能や遊水機能の低下が著しくなり、事業計画上での河川改修のみでは治水安全度がいつまでも向上しないという深刻な状況に陥っていた。 そこで、1976年に、旧建設省が総合的な治水対策の推進方策について河川審議会に諮問し、それを受けて審議会から1977年に「総合的な治水対策の推進方策はいかにあるべきか」という中間答申が行われた。これにより、1980年に「総合治水対策の推進について」という建設事務次官通達が出され、総合治水対策特定河川事業として総合治水対策特定河川が合計17河川指定され、この各河川で流域総合治水対策協議会の設置や流域整備計画が策定された。 しかしその後、今度は既存の調整池やため池が埋め立てられるといった状況が発生、都市部の浸水被害が頻発するようになった。また、人口増加が鎮静化を迎え開発圧力が減少する一方で、被害ポテンシャルの増大や土地利用の高度化は依然として進み、都市部の河川流域における新たなスキームによる一体的な浸水被害対策が必要となった。 こうした実態を受け、2004年5月に特定都市河川浸水被害対策法が施行される。これまでに鶴見川・新川・寝屋川・巴川・境川 (愛知県)・境川 (東京都・神奈川県)の6河川とその支流の一部が対策法での特定都市河川に指定されている。
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