継承と任期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 02:08 UTC 版)
君主制はまず、君主の座を世襲で継承するかどうかによって、世襲君主制と選挙君主制とに分類される。世襲君主制は君主の地位がある一族によって世襲されるものであり、この場合君主の一族を王家(王室)と呼び、王家による世襲権力の連続体を王朝という。これに対し、君主が死去または退位した場合、一定の候補者の中から選挙によって君主が選ばれる君主制を選挙君主制という。世襲君主制における王位継承は多くの場合現在の君主との血の近さによって明確な王位継承順位が定められており、空位となった場合は継承順位第一位の人物が新しく君主に就任する。ただし、サウジアラビアのように王位継承順位を定めていない国家も存在する。 近現代のヨーロッパにおける王位継承は、女性の継承権の有無および優先順位によって4つのタイプに分かれる。女性に継承権が存在しない場合は男系長子継承制(サリカ法)となり、男系長子が王位継承の第一順位となって、以下血縁の近い男性に継承権が付与されていく。これに対し、女性に継承権が存在する場合は3つのパターンが存在する。基本的には男系男子を優先するが、男系継承者が絶えた場合に限り女系や女子に継承権を認めるパターンは男系・女系長子継承制(準サリカ法)と呼ばれる。また、男女に継承権を認めるが、男子が存在する場合は男子を優先するパターンを男子優先長子継承制と呼ぶ。ここまでのタイプは古くから存在する継承法であるが、男女平等概念の浸透により、男女にかかわらず長幼の順に従って継承権を認める絶対的長子継承制が1980年代以降普及しつつある。 君主は基本的には任期が定まっておらず、その死去または自主的な退位までは在位をし続けるが、マレーシアやサモアのような任期制の君主国も存在する。アラブ首長国連邦は大統領制を取っており、任期は5年であるが、大統領は連邦に加盟する7ヶ国の世襲首長によって互選される上、国内で最大勢力を持つアブダビ首長国の首長が大統領に選出されることが慣例化している。またアンドラはフランス大統領とスペインのウルヘル司教が職権上アンドラ公国共同公に就任し、共同元首となっている。
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