経済的グローバリゼーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 21:17 UTC 版)
「グローバリゼーション」の記事における「経済的グローバリゼーション」の解説
経済的グローバリゼーションとは、物資、サービス、技術、資本の国境を越えた移動が急激に増加することによって、世界中の国民経済が経済的に相互依存することである。経済的グローバリゼーションは、世界貿易を抑制する関税や税金、貿易規制などの障害を減少させる一方で、国家間の経済統合を増加させ、グローバル市場または単一の世界市場を出現させることとなる。論者の視点に応じて、経済のグローバリゼーションは肯定的にも否定的にも見ることができる。経済的グローバリゼーションにはさまざまな要素が含まれる。生産のグローバル化は、コストと品質の違いから利益を得るために、世界中のさまざまな場所にある供給元から商品やサービスを取得することを意味する。同様に、市場のグローバル化はさまざまな別々の市場を巨大なグローバル市場に統合することと定義される。 現在のグローバリゼーションは、外国直接投資を含む資本の国際的流動の増加、貿易障壁の低下、その他の経済改革、そして多くの場合は移民によって、先進国が発展途上国と統合しつつあることがおもな原因となっている。グローバリゼーションが深化する前は、アメリカ合衆国は世界の輸出において不可欠なまでの経済力を保持した覇権国家だった。しかし、グローバリゼーションの到来後、ドイツ、日本、韓国、中国はアメリカの立場に挑戦する重要な競争相手となった。日本では2010年代に入る前後から、かつてコスト削減や利益を増やすために中国企業に積極的にノウハウを教えた日本の企業が、逆に中国企業に買収される動きも出ている。 グローバリゼーションの深化には、情報通信技術の発達が大きな役割を果たしている。すでに航空と海運、それに道路・鉄道の改良や海上コンテナの導入によって物流の効率化が進み物流ネットワークの発達が始まっていたが、1980年代後半以降事務の電算化や通信衛星の利用が始まり、1990年代後半のインターネットの発達によって情報の迅速な交換が可能となり、遠隔地間の情報伝達コストが大幅に下落した。このため世界で最適な調達・販売を行うサプライチェーン・マネジメントが発達を遂げ、これと国際資金移動および国内金融市場の規制緩和によって資金移動が容易になったことが、多国籍企業の成長と世界経済の支配割合の高まりをもたらした。
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