経営管理論の発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/01 16:16 UTC 版)
19世紀後半から、第二次産業革命と呼ばれる工業化の進行・資本主義の発展や経済の拡大により、企業は経営資源を効率的に運用し、生産力を増強することを目指すようになった。そのような状況の下、20世紀初め、アメリカの技術者・テイラーが「科学的管理法」を、フランスの経営者・ファヨールが「管理過程論」の原型をそれぞれ発表、経営管理の研究が始まった。一方、ドイツの社会学者・マックス・ヴェーバーは、組織の支配形態を分析し、合法的・合理的な組織は官僚制組織であるとした。その上で組織の合理的・機能的側面に注目、組織構造という概念を考え出し、「官僚制組織論」を提唱した。これらの3人の研究が、経営管理論の出発点と言える。 その後、人間的側面を軽視する科学的管理法への批判から、人間関係や人間の持つ欲求、特に自己実現欲求に注目する、「人間関係論」が生まれた。メイヨー、レスリスバーガーによるホーソン実験や、マズローの欲求段階説(自己実現理論)、マクレガーのXY理論などが知られる。 さらにその後、マックス・ヴェーバーの組織の理論を経営に応用し、組織全体を分析する議論(システムズ・アプローチ)がバーナードによって唱えられ、後にサイモンの意思決定論に繋がった。一方、1960年代以降、従来の普遍的な法則を見出そうとする議論では抽象的で現実の経営に対応できないとして、経営環境に応じてそれぞれに異なる最適な組織形態・管理法が存在するとする見解(コンティンジェンシー理論)が登場した。 これらの諸議論を基礎に、リーダーシップ論、モチベーション論、組織文化論、企業間関係論など様々な議論に広がっている。 占部都美は、最近の経営管理論は、意思決定論的アプローチ、行動科学的アプローチ、システムズ・アプローチを取っているとしている。 20世紀の終わりには、マネジメントの項目は以下の6つのサブカテゴリーから成るとされていた。 人材マネジメント Human resource management オペレーションマネジメント w:Operations or production management 戦略的マネジメント w:Strategic management マーケティングマネジメント w:Marketing management 財務管理 w:Financial management ITマネジメント w:Information Technology management 21世紀の現在では、この6つのカテゴリーのみでとらえることがますます困難となってきている。多くのプロセスが同時にいくつかのカテゴリーを含んでいるためである。現在では6つのカテゴリーの代わりに、一人が管理できる様々なプロセス、タスクおよびオブジェクトの単位で考える傾向にある。
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