ファヨールとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 外国人名の読み方 > ファヨールの意味・解説 

ファヨール

名前 Fayol; Fayolle

アンリ・ファヨール

(ファヨール から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 21:20 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
アンリ・ファヨール

ジュール・アンリ・ファヨール[1](Jule Henri Fayol、1841年7月29日 - 1925年11月19日)は、フランス鉱山技師地質学者、企業経営者で経営学者管理過程学派の始祖で、「管理原則の父」とも呼ばれる。フレデリック・テイラーとともに経営管理論の礎を築いた一人に数えられる。

略歴

建築技師であった父の赴任先であったコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)で生まれる。その後フランスへ戻り、1860年にサン・テチェンヌ鉱山学校を19歳で卒業し、技師の資格を得る。

同年、ボアグ・ランブール社(後にコマントリー・フルシャンボー・ドウカズヴィル社、と社名変更。俗にコマンボール社と言われる。)に炭鉱技師として入る。そこで頭角を現し、同社傘下の鉱山の責任者を歴任した後、1888年に社長に就任。増資・社債発行など巧みな資金調達や不採算部門の売却、新規事業や高収益部門への集中などの戦略をとり、倒産寸前だった同社の再建に成功する。1918年に社長職を辞するまで、30年にわたって経営の指揮を執った。また、辞任後も同社の取締役として、没するまで経営に参画した。

1925年、胃潰瘍の手術の予後不良により、パリで死去。84歳であった。

経営学への功績

ファヨールは主著『産業ならびに一般の管理』で、企業の経営には管理が最も重要であると指摘。管理を定義付けた上で、管理教育の必要性と可能性、そして管理の諸原則と諸要素を論じた。これが管理過程論の始まりである。

また、1918年に管理学研究所を創設、管理論の研究や普及に大きな貢献を成した。

論文・著作
  • 『産業ならびに一般の管理』(1916年)
  • 『公共心の覚醒』(1917年)
  • 『国家の産業的無能力』(1921年)

ファヨールの管理論

ファヨールは、著書『産業ならびに一般の管理』で、企業の経営活動(職能)を次の6つに分類した。

  • 技術活動(生産、製造、加工)
  • 商業活動(購買、販売、交換)
  • 財務活動(資本の調達・運用)
  • 保全活動(設備および従業員の保護)
  • 会計活動(財産目録、貸借対照表、原価、統計など)
  • 管理活動(計画、組織、指揮、調整および統制)

ファヨールは、中でも管理活動を重要視し、『管理とは、計画し、組織し、指揮し、調整し、統制するプロセスである。』と定義した。管理の一般原則として、次の14の管理の原理を示した。

  • 分業
  • 権威と責任
命令する権限と、それに伴う責任
  • 規律
  • 命令の統一(一元化)
特定の業務の担当者は、必ず単一の管理者の指揮命令を受けるべき、とする原則。
  • 指揮の統一
目的をもった組織は、1人の管理者の下、1つの計画の下に業務遂行すべき、とする原則。
  • 個人利益の全体利益への従属
企業全体の利益は個人の利益よりも優先する
  • 公正な従業員報酬
公正、合理的範囲内
  • 集権
環境に応じ、許される限り(程度)において管理者に権限を集中すべき、とする原則。
  • 階層組織
権限と階層の構築
  • 秩序
適材適所の確保。
  • 公正
  • 従業員の安定
技能の習得には時間がかかるので、長い目で見守り、頻繁な人事異動は控えるべき、とする原則。
  • 創意(イニシアティブ)
計画を立案し、実行すること。組織のすべての階層にその自由を与えることで、士気を高める。
  • 従業員の団結

ただし、これらの原則は絶対的なものではなく、すべて程度問題であり、事態や人間、その他の変化・変動要因を考慮するべき、との注意も残している。

ファヨール死後の1929年に、『産業ならびに一般の管理』はアメリカで翻訳・出版されて高い評価を受け、管理過程論が生まれた。何より、管理を計画、組織、指揮、調整、統制の5要素と定義し、また管理教育の重要性を主張し、管理原則の理論化を試みた功績は大きく、経営管理論の始祖の一人に数えられる。

これらの原則は実務体験に基づくものであり説得力がある反面、経験論に過ぎず、管理の本質的な認識を欠いているとか、管理原則の適用されるべき条件(経営環境)の分析が不十分などの批判もある。また、管理過程論者はファヨールの意見に普遍的妥当性を見出すがあまり、経営環境変化に対応できなかった。ハーバート・サイモンは、「矛盾した経験則の寄せ集め」と批判している。

地質学者の一面

ファヨールは地質学者の一面も持っている。

1886年発表の論文『コマントリーの石炭地帯に関する研究』において、堆積学特に三角州の分野の研究を行い、高い評価を受ける。その後も炭鉱火災防止のための研究などを続け、いくつもの賞を受賞している。

主な受賞歴
  • レジオンドヌール勲章・シュヴァリエ章(1888年)
  • 鉱業協会・創立100周年記念グランプリ(1908年)
  • レジオンドヌール勲章・オフィシエ章(1913年)
  • ルーマニア国王のオフィシエ章

ほか多数

脚注

  1. ^ フェイヨールとする文献もある。

参考文献

  • 『経営管理の思想家たち』 車戸實・編 (早稲田大学出版部)
  • 『テキスト経営学(増補版)』 井原久光・著 (ミネルヴァ書房) ISBN 4623033392
  • 『アンリ・ファヨールの世界』 ジャン・ルイ・ポーセル・編著 佐々木恒男・監訳 (文真堂) ISBN 4830945133


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ファヨール」の関連用語

ファヨールのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ファヨールのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアンリ・ファヨール (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS