紙本著色近江名所図〈/六曲屏風〉
主名称: | 紙本著色近江名所図〈/六曲屏風〉 |
指定番号: | 1872 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1987.06.06(昭和62.06.06) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 絵画 |
ト書: | |
員数: | 一双 |
時代区分: | 室町 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 琵琶湖西岸の名所を四季のうつりかわりの中に描いたもので、金箔を用いることなく、金泥をもって雲や土坡をかたどるなど古様を示す作品である。向かって右隻、右端から場所を説明してゆくと、上辺の雪を冠った連山は比良山、小さな瀑布は楊梅滝であろう。その下が小松の松原、下辺の社は湖中に朱の鳥居が立つところから白髭神社と考えられる。画面の中央は堅田の町で、湖中には堅田を象徴する浮御堂がみえる。それが切妻造りであるのは、江戸期の近江八景図中の浮御堂が宝形造で、現在の建物もそうであるのとは異なっており、大変注目される。その左方、竹矢来や柳に囲まれた建物は堅田に置かれた「湖上の関」と想像される。左端は対岸とを結ぶ渡場で、いましも船が着き、乗り降りする武士や応待に忙しい船着場の女房の生き生きとした姿が描かれている。湖上には魚とる船とともに数多くの船が行き交い、当時の湖上交通の賑やかさを今に伝えている。 左隻の右半は日吉大社と坂本の町並みで占められ、日吉大社の社殿や樹上には神猿が群れ、坂本の町には僧俗男女が往来している。町のところどころに防禦施設がみえるのも時代相を示すものと思われる。左上隅の鐘楼が目立つ寺院は三井寺であろう。 こうしてみると本図は中世における四季名所絵の伝統を受けつぎつつも、堅田、坂本という中世末期における近江の主要な町の景観を中心に描こうとする精神に溢れており、京都における洛中洛外図と共通する性格を見ることができる。その点でさらに興味深いのは、人物の表現において上杉本洛中洛外図の人物と極めて近い表現がなされている点である。上杉本洛中洛外図の制作期・筆者については幾多の問題をはらんでいるが、本図の出現はそれに新たな視点を加えることになるものと思われる。 |
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